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3.1.2 イギリス

(1)防除対応体制

防除体制は、運輸省傘下の海洋汚染防止局(MPCU:Marine Pollution Control Unit)に一元的に集約・管理されている。MPCUは、流出油事故の規模に応じて処理作業の指揮、処理対策の調整を行うと同時に、助言、人員及び資機材貸し出し等の支援を行う。実際の処理体制は、政府、地方公共団体、および民間の各レベルがそれぞれ処理組織・機材を保有し、分担して作業を実施する。大規模流出事故に対しては、MPCUの要請に基づき、北海で操業するオペレータが共同で運営している流出油対応センター(OSSC:Oil Spill Service Center)が、また海岸線に漂着した流出油については地方公共団体がそれぞれ処理にあたる。

流出事故発生直後の処理対策においては、沿岸警備隊(H.M.Coastguard)と海洋調査協会(MSO:Marine Survey Organization)がMPCUに協力している。沿岸警備隊は24時間体制でイギリス全域の海岸を監視しており、同隊に入った流出油事故の連絡は直ちにMPCUに通報される。また同隊は、流出油処理資機材及び要員を保有しており、事故発生直後の処理作業にもあたる。

 

(2)連絡体制

流出油事故発生の際の通報系は、第一発見者が電話、無線等の通常の通信手段を用いて沿岸警備隊及びMPCUに通報し、MPCUの汚染対策室がこれを保管することとなっている。

流出油汚染防止に関する国際法上の窓口は、MPCUとなっている。

沖合のプラットフォームで流出油事故が発生した場合、最初の通報はMPCU、貿易産業省(DTI:Department of Trade Industry)、安全衛生行政部(HSE:Health, Safety and Executive)に対して行われ、プラットフォームのオペレータが自社の保有する流出油処理組織・資機材で処理不可能と判断した場合、直ちに支援要請がMPCUを通じてOSSCになされる。その後の情報は、HSE、DTIにも逐一連絡される。

 

(3)流出油緊急防災計画

流出油緊急防災計画については、国家流出油緊急防災計画に基づき、?防除対応体制で述べたように政府、地方公共団体及び民間機関がそれぞれの役割分担に応じて独自の流出油緊急防災計画及びこれに基づく流出油処理組織・資機材を保有しているが、これらはMPCUによって検閲・評価され、国家全体の流出油緊急防災計画に統合されている。これら各機関レベルの対応計画は,その適切な基準が維持できるように、MPCUが定期的に有効・妥当性を検討している。

 

(4)防除実施

沖合海域における油田操業による油流出汚染に対しては、油田のプラットフォームオペレータが管轄のDTI、HSE及びMPCUに通報し、MPCUはDTI、HSE共同で連絡及び広報等の処理にあたるが、実質的な流出油処理に対してはMPCUが全面的に責任を有している。

HSEは、沖合での油田操業に関わる安全及び健康問題だけでなく、流出油についてその予防及び安全対策の観点から施設の技術的問題について責任を有している。

DTIについては、イギリス領北海における油田操業に際し、オペレータ間との報告、指示にあたる。

イギリスでは、初期対応の重要性を十分認識しており、初期対応における機械的回収が海象

 

 

 

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