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がシー・エンプレス号事故によって汚染された海岸区域で生じていることを確認することができた。

鉱物微粉と油との間のこの相互作用は:

・ 油が下層の砂に直接接触するのを少なくし、それによって油の海岸線への付着を減らした。

・ 油滴の再合体を妨げ、それによって磯波領域で油の分散を促進した。

以前の油流出現場(例えばArrow 1970年;Metula 1974年;BIOS試験流出 1981年;Bouchard1993年)から採取されたサンプルを使った最近の研究は、各種の原油や精製油が海水と鉱物微粉があると様々な環境条件のもとで凝集するというほぼ普遍的な傾向を証明した(0wens他1994年;Bragg及びOwens 1995年)。カマーザン湾の海岸の堆積物の中で粘土―油の凝集が生じていたことが分かった結果、計画されていた対応作業が変更された。アムロス海岸の東端にある油汚染された玉石区域(アメニティーの面で高い価値のある場所)が「磯波洗浄」を受けるようにした。使われた方法は基本的には、干潮時に掘削機を使って高水位標のレベルにある付着物を油汚染領域から潮間帯の中央都へ移動させる、というものである。潮が満ちるにしたがって、磯波領域に加えられたエネルギーが、油汚染された玉石からフォーナィーズ原油のエマルジョンを取り除くのに十分となる。磯波領域の海水中にある鉱物微粉は界面活性剤として機能し、下層からの油の除去を促進し、油を磯波領域の中へ分散させるよう作用すると考えられている。我々の推定では、玉石から剥がれた油の半分が分散した(鉱物微粉により安定化した)と思われた。残りの半分は断片的な海面油膜(風化したエマルジョン、外見上は海面に浮ぶ茶葉のように見える)となって離脱した。

4日間にわたって玉石を高水位標のレベルから低水位時の海岸へ移動させた。これらの玉石の油汚染度は潮汐サイクルのたびごとに低下し、5日目にはアムロス浜の東半分にある玉石領域ではもはや著しい油汚染は見られなくなった。アムロスの西端にある玉石は磯波洗浄の処理を行わなかった。なぜなら、それらの玉石は直径が30cmを超えていて、磯波領域でのエネルギーによっては動かされず、したがって同程度の物理的エネルギーを受けにくかったからである。したがってこの区域は後日、分散処理剤を使って処理された。

アムロス浜での磯波洗浄の方法が成功したことで他の浜も又最終仕上げ過程として磯波洗浄により処理されることになった。

 

高エネルギー環境:分散処理剤による処理

復活祭休暇の時期が近づくにしたがって、現地の評議会から、観光客の来訪の時期に間に合うように、カマーザン湾のアメニティー上高い価値のある区域を浄化するよう圧力が強まってきた。3月の最後の2週間にわたり、テンビーの休暇リゾート区域を浄化するよう特に配慮された。タイプ?の分散処理剤は油で汚染された自然物の表面に対しても人工構造物の表面に対しても浄化効果があることが分かった。

カマーザン湾はその地域の漁業にとっても生態系にとっても重要な浅い湾である。したがって、湾内の分散油のレベルを上昇させる点で分散処理剤散布の影響を監視することが重要であった。NETCENは、毎回の満潮の前の分散処理剤使用によって生じた湾内の分散油の濃度を監視した。分散油の濃度は比較的低いこと(最高で3ppmで一般的には1ppm未満)、しかも局所的であることが分かった(一般的な汚染面積は直径約20m)。

4月と5月には分散処理剤の散布をソーンダースワート、アムロスの西端、マロス、リズテップ、マノビエール、フレッシュウォーター・ウエスト、モンクストーン、ザ・グレン、スワロー・ツリーにまで拡張した。それぞれの現場で監視を行ったところ、分散処理剤の散布は水柱の中の分散油のレベル上昇に関して殆ど影響を与えないことが分かった。この監視によりJRCは、局所的な散布作業が周辺の海洋環境に対して大きな影響を与えないとの確信をもって、高アメニティー区域の浄化作業を進めることができた。

 

 

 

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