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漂流油が海岸に到達するかを予測する信頼できる軌跡モデルが必要である。汚染のひどい流出源が海岸に近い場合、対応所要時間の調整が必要である。油汚染を引き起こす確率の高い原油掘削又は他の石油事業に関してノルウェー当局が設定した基準は、認められている漂流計算に基づき、一日8,000m3を回収するのに必要な機材の50%を、油が海岸に漂着する所要最短時間の半分以内で使用可能な状態にすることであり、更に、残りの機材も、油が岸に漂着するより前に使用可能な状態にすることである。20時間以内に油が海岸に漂着すると予測される場合には、同じ機材の25%が設置場所で、2時間以内に使用できなければならない。

機械装置を用いた海上の油回収作業に成功の見込がある場合、現実的な回収率を定め又は計算しなければならない。

まず、使用する機材は、設定されたあらゆる気象条件下で徹底的に試験されなければならない。更に、そのテストは水面に油を流した状態で行わなければならない。油の代わりに他の物質を用いた試験は信頼できないことが証明されている。このように機材(船舶を含む)に対する信頼できる性能曲線(下図の例参照)が確定したら、要員は早い機会にその取扱いに対する十分な教育訓練を受けなければならない。油回収作業における人的要因の重要性はいくら強調してもし過ぎるということはない。又、風、波、流れ等の、作業場所で予想される状況についての事前の知識の欠如や、無計画、訓練不足等が流出油回収作業に成功どころか悲惨な結末をもたらすということは、数多くの経験が教えている。

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種々の気象条件下での実際的な試験を経て確定された回収装置の能力から、回収可能な実油量を見積もるために下記のものを差し引かなければならない。

* エマルジョンと一緒に回収された水分。

* エマルジョンの含水量(大部分の油は水分を吸収してエマルジョンになり、含水率は70%にもなる)。

* 回収油をタンカーに移すのに要する時間。

* 現場修理のために費やされる時間。

上記の諸条件を考慮に入れると、ある時間内の平均回収率は通常の20%という低い値となる。

 

 

 

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