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の検討に多くの時間を割いた。又浄化方法説明書及び可能な場合には詳細な経費支払明細が、我々の提案の合理性に鋭い関心を示してきたITOPF、保険基金技術査定者のために作成された。

イースター(7週)後、主要な休暇シーズンに備えて、判明した多くのプロジェクトに取り組むために増員しなければならない人数が明らかになった。

開かれてはいるが観光地ではない海浜や入江については、隣接した海浜の汚染の脅威がある場合にはその大部分の油を除去したが、多くは自然の自浄作用にまかせた。又一部の海浜地域は、打ち上げられた油の自然の風化や分解の程度が処理地域とどう異なるかを見るために、実験的に未処理のまま残された。

浄化作業の大部分は、原油の油中水エマルジョンの除去であった。しかし約360tの燃料重油も流出し、これは遥かに大きな海浜汚染力を有するものであり、そのため浄化作業の大きな負担となった。燃料重油は精製油であり、重質成分のみから構成されている。これは原油よりも粘度が高く、容易に分散も乳化もせず、自然環境においてそのままの状態を持続し、フォーティーズ原油よりも自然の分解や浄化作業に対して遥かに大きな抵抗力を持っている。温度が上昇すると、燃料重油はアスファルト質の薄い硬質の不活性層(道路舗装材)を形成し易く、流動性の油の塊を包み込むことが多かった。

多くの海浜において遭遇した大きな問題は海浜沈殿物の激しい移動であり、それによって油が覆われたり、露出したりすることであった。時には一度の干満の間に2m以上の砂が堆積したり除去されたりした。そのため浄化のために幾度も海浜を見回らなければならなかったし、今後とも頻繁に見回りが必要になると思われる。砂の移動を正確に監視できるように殆どの海浜に管理標識が設置された。

二次浄化の作業方法は主として海浜の支持下層の種類によって決められ、通常は標準的方法によって行われたが、多くの場所で、特別にあるいは新たに開発された、又は実験的な技術が使用された。

 

岩場の海岸

海岸線の岩場は、分散処理剤又は高圧水による洗浄等の如何なる方法の浄化によっても海洋環境が損傷を受ける危険性があるので、可能な場合には油を自然の分解作用に任せることにした。多くの海浜においてはアクセス上の問題も少なくなかった。油の付着した砂が岩の表面にこびり着いているところでは、手作業でブラシをかけたり、ぼろきれで擦ったり、拭き取ったりした。高圧水による洗浄も行われ、玉ふさ等の吸着材もよく使用された。分散処理剤は潮間帯の海洋生物に対して有害であるが、重要なレクリエーション海浜においては快適性を優先することでJRCの環境チームと合意に達し、岩の表面に付着した風化した油を取り除くために分散処理剤を使用した。

 

大玉石

大玉石の海浜は、岩場の海岸に対するのと同じ方法及び大玉石の間に閉じ込められた油を排出するために大量の水で洗い流す方法を併用して浄化した。

 

玉石

この種の海浜では二つの大きな問題に遭遇した。即ち、油が支持層に深く浸透し、そのため浄化作業が非常に困難になり、又その表面の物理的性状によって車両の移動が妨げられた。油は主にブラシ及びグリース除去剤で擦って取り除いた。穴洗浄法と磯波洗浄法の二つの特別の方法が用いられた。

 

 

 

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