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る農業用のバキューム・タンカーが提供された。このバキュームタンカーなしには、テンビー及びソーンダーズフット地区の海岸線の油回収は達成されなかったであろう。1回36時間で海浜から3,000t以上の液体が除去された。

油性廃棄物の処分は常に重大な問題である。シー・エンプレス号の事故によって20,000t以上の液状廃棄物及び12,000t以上の固形廃棄物が発生した。

海上で回収された液状廃棄物はミルフォード・ヘブンへ海上輸送され、テキサコの精製所に運び込まれた。海浜で回収された液状廃棄物はタンクローリーでテキサコ及びガルフの精製所へ移送された。これらの精製所は合計で22,000t以上の液状廃棄物を処理した(95%をテキサコが処理)。精製所が事故現場に隣接していなかったら、液体の回収作業は著しく阻害されたものと思われる。

海浜で回収された計12,000t以上の固形物は、とりわけ、油の付着した砂、数百立方メートルの油吸着剤付きオイルフェンス、プラスチック・バッグ、油の付着した対人防護機材、大量の油の付着した海藻からなっていたため、更に厄介な問題を生じた。

その内の4,000t以上が約100mi1離れたマーサーティドヴィルの埋立ごみ処理地へ送られた。120tはアスファルトで安定化された。7,000t以上の油の付着した砂は農業用地用にテキサコに運ばれた。このプロセスは、管理された用地に廃棄物を散布し、バクテリアの作用によって害のより少ない成分に変換させるものである。

埋立ごみ処理地に送られる固形廃棄物を移送前に固化させるため、一時的保管用地がPPDCのソーントンの構内及びテキサコ精製所に設けられた。

この事故がミルフォード・ヘブン及びその精製所から離れた場所で発生していたならば、その様相は全く異なったものになっていたであろう。かなりの環境的及び資金的な犠牲を払って、遠距離の処分ルートを探して大量の油性廃棄物を運ばなければならなかったかも知れない。類似の事態に対処するための堅実な廃棄物処分計画が制定されない限り、次の災害時に英国がこのような幸運に恵まれることはないであろう。

大部分の油が除去されると、必要な第二次浄化作業の方法及び処理量に関心を向けることが可能になった。イースターの休暇に使用できるように、4月の初めまでに主要な快適環境海浜から大部分の油を十分に除去することが優先された。

その後、アクセス上及び浜辺の物性上問題のある厄介な海浜に対して努力が向けられた。

我々は浄化作業の成果をできるだけ地域住民及び観光客に知らせる必要を認識していたので、定期的な「海浜状況報告」を地域の観光情報センターに提供した。イースターの週末までに我々は主要な快適環境海浜の浄化に非常に成功し、何割かは興味本位だったとしても、イースター期間中には非常に多くの観光客が訪れた。それにしても、当時の浄化に対する一般的な反応は非常に称賛的であった。

我々は、更に積極的に浄化作業を実施するように、海浜の改善状態に従って絶えず標識をかえ、しかし同時に一般市民が潜在的な問題があればそれに気づくようにも努めた。

既に述べたように、緊急段階からプロジェクト段階への移行時期がペンブローク州評議会の職員がJRCの管理に代わって責任を引き継ぐ時期と重なった。マスコミ対策、支援、海事グループが解体され、我々は第二次浄化の問題に集中することになった。技術/環境チームは個々の海浜及び海浜周辺領域に対して実施する戦略

 

 

 

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