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れた。JRCの設立や運営も上首尾であった。このような大事故に投入された人々が、以前のダヴェッド州の油濁顧問グループ(DOPAG)の会合及び訓練以来の既知の間柄であったことが非常に貴重であった。DOPAGによって作成された我が国の海岸線の全てのアクセス可能な海浜についての情報を与える「海浜データと浄化指針」も非常に有用であった。この文書の地図は現場測量報告書の形式に再生され役立った。地図も複写され、海浜の状況についての環境報告書の作成に使用された。

油流出事故の処理班が緊急の状態からプロジェクトの状態に迅速に移行することが非常に重要である。シー・エンプレス号の場合には、地区行政組織の再編成にかかわる困難な問題からこの移行が著しく遅延した。独立した資金の手当や資機材購入を担当するチームが存在していなかったので、購入業務は技術チーム及び個々の組織によって賄われた。明確な財政機構がなかったため、事故の初期段階における財務帳簿が不適正なものとなり、そのため後日請求にかかわる情報の整理は困難を極めた。

継続的対処を容易にするために、管理チームがより戦略的な問題を取り扱う一方で、日常の浄化作業を処理するための調整グループの設置が決定された。

このような規模の事故においては適切な連絡体制が不可欠であるが、最初は電話交換機なしで無差別に受付ける10本の電話回線で連絡を始めたので、種々の問題を生じた。多数の海浜において作業するチームとの連絡を保つことも非常に重要で、この問題は16ヵ所の地域をカバーする免許を持った43のアマチュア無線局を動員し、3,000時間を超える支援を行った、地域のアマチュア無線の緊急通信網(RAYNET)によって解決された。

その他の支援組織で作業に対し貴重な支援を提供したものとしては、英国赤十字社(36人の熟練した救急隊員の14ヵ所での2,000時間を超える活動)、セント・ジョーンズ救急病院(9人の熟練した救急隊員の8ヵ所での800時間を超える活動)、RSPCA(王立動物虐待防止協会)(約200人のボランティアに支援された50人の熟練した検査員のゴウア地区からセント・ダヴィド岬までカバーした4,200時間を超える活動)、救世軍(8人による8ヵ所で750時間を超える活動)、英国女性ボランティアサービス(WRVS)(79人の隊員による3,400時間の活動及び約8,000食の食事の提供)がある。ボランティア達から多くの支援の申し出を受けたが、彼らは海浜浄化作業において安全に作業することができないので、RSPCA等のボランティア機関に差し向けられた。

海浜の浄化作業は決して簡単な仕事ではない。海浜の快適な状態、大型機材の海浜へのアクセス、必要な場合には重機械を支援する能力等の現実的な問題に取り組まなければならない。潮間帯の海洋生物群、海洋植物、海鳥、魚類及び哺乳動物類に対する、浄化の環境的な影響を調査しなければならない。場合によっては、いろいろな生物系を扱う団体の代表者が推奨する浄化方法が互いに矛盾し、双方が受け入れられる妥協案を環境チームが工夫しなければならないことがある。

浄化作業の緊急業務は、できるだけ大量の油を迅速に除去することであった。最終仕上げ作業は、海上に残留油が認められず、汚染された海浜から油の再浮上が殆ど見られなくなるまで待たなければならなかった。2月24日から29日までの海浜浄化作業によって近接可能な場所における大部分の油が除去された。

JRCは最高時には900人以上の人員を海岸線の油回収作業に配置して大がかりな作業を行った。これらの手作業の人員は地域関係当局の職員(直接労働機関)、地元の請負業者、MPCUの請負業者、テキサコ、OSRL及びNRAから送り込まれた者で構成されていた。

海浜浄化用の機材は、常設協議会/テキサコの在庫、0SRLの在庫、MPCUの在庫、NRAの在庫、地域関係当局の在庫及び地域の民間プラントからの借入によって供給された。又農業機械団体からは重要な機材であ

 

 

 

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