ンジュンプリオク、スラバヤ、ウジュンバンダン)、その下に地方港湾をその規模や機能に応じて階層的に配置して体系的な港湾の整備、運営を目指したものであった。しかし、主としてこの図の真ん中の枠に示すような要素、すなわち世界のコンテナ輸送構造や民間セクターの港湾産業への参入などが量質共に大きく変化し、これまでのシステムが有効に機能しなくなったこともあって、新しい時代に適応できる制度予算の仕組みを再構築することが必要になってきた。このような事態に対応するため、一番下の枠内に見られるような新しい港湾整備5ケ年計画(1999−2003年)と、2018年を目標とする新長期港湾整備計画を策定することになり、現在、JICAの協力により具体的な検討が始められたところである。
図-4は韓国における港湾セクターの主要課題とその対応策を示している。前述したように、東アジアの経済が当時の予測を超えるスピードで進行した結果、この地域のどの国においても港湾施設やサービスの容量、特にコンテナ取り扱いの能力が不足する事態になっているが、とくに韓国においては経済の高度成長が一段落したこともあって、港湾整備に必要な財源不足が顕在化し、高水準のコンテナ需要を吸収出来ず、港湾における船混みが顕著になってきている。このような事態に対応するため、下の枠内に示すように、大水深のコンテナバースを釜山と光陽に建設すること、全国の6地域に地方港湾の整備を進めること、朝鮮半島の西及び北の海岸線における港湾機能を拡充すること、より効率的な港湾の管理運営システムを確立することなどを柱とする政策を模索中である。
図-5は、日本の長期港湾政策の要点を示したものである。日本の経済はここ10年来成熟の域に達しており、経済成長のスピードは大きく減速している。しかし、拡大した経済規模に伴う物流需要は高水準を維持しており、一方では産業の国外立地の進展や、東アジア諸国の経済の急激な発展により海上コンテナを中心とする物流構造が大きく変化してきている。
このような事態を“人”“物”“情報”“文化”などがこれまでの国と言う垣根を越えて大いに交流する時代に突入したと認識し、日本では21世紀の港湾政策として、ここにあるように“大交流時代の港湾”をキャッチフレーズとした新しい政策を展開しようとしている。もう少し具体的に港湾政策の狙いを示したのが下の枠内の4項目である。先ず第一に挙げているのがシンガポール、香港、台湾など急速に発展してきたコンテナポートに比べて、施設、サービス、価格などの面で立ち後れの目立つ港湾体系をより競争力のあるシステムに改造することである。次に、これまで神戸や横浜など一部の拠点港湾に頼っていた外貿コンテナの取り扱い機能に加え、産業活動や地域生活の支援を行う港湾機能を地方にもより積極的に展開して、活力ある地域作りに貢献すること、さらには、21世紀に生きる新しい世代のために、港湾をとりまく総合的な環境を良好に維持するばかりでなく良質な環境を新しく創造するための港湾整備を推進することを目指している。また、地震などの災害に備えて、安全で信頼できる港湾空間をより充実することも重点にあげている。
(2)主要港湾開発プロジェクトの動向
次に、東アジアの諸国で動きはじめている港湾開発プロジェクトのうち興味深いと思われる