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東アジア諸国で、いわゆる主要港湾として位置付けられているものを国別に整理したものが表-3である。各国がメイジャーポートと称しているものの定義がまちまちであるため、必ずしもこの表が正確な比較を現している訳ではないが、インドネシアでは656港が挙げられており、次いで日本が133港、フィリピン122港、中国57港、韓国45港、マレーシア25港、タイ20港となっている。それぞれの国の地形、海岸線の長さなどを考えると分かるが、各国の主要港湾に匹敵する規模をもつ港湾が長い海岸線を持っているヴェトナムで2、3港にとどまっていると言うことは、ヴェトナムが今後さらに多く拠点港湾を開発してもおかしくないことを現わしている。

同図-5で港湾の取り扱い貨物量の総計を見ると、日本が34億トン、中国が10億トン、韓国が7億トン弱、インドネシア5億トンの順になり、その国の持つ経済力がはっきり反映している結果となっている。

これをコンテナの取り扱い個数で見ると、トランシップメントを含めて、シンガポールが1,200万TEU、日本が1,100万TEU弱、韓国500万TEU弱、香港を除く中国が400万TEU程度、と言うことになる。

表-4を見ても分かる通り、東アジアのコンテナ港で取り扱われているコンテナの総計はこの13か国に香港を加えると1995年で6,000万TEUを超えており、世界全体の港湾コンテナ取り扱い個数、約1億4,000万TEUの43%を占めていることになる。

 

2、東アジア諸国の港湾政策と開発プロジェクト

 

(1)港湾政策の動向

 

東アジア諸国における港湾政策を全体的にみると、世界の他の地域に比べてかなり、積極的姿勢をとっていると言える。これは、例えば欧州や北米地域のように域内各国の経済がすでに成熟している地域に比べこの地域の経済が急速に拡大しているからである。結果として、これに伴う高水準の物流需要に対応するため、各国ともそれぞれの社会経済状況に応じた港湾開発を積極的に推進する姿勢を取っていると言うことに他ならない。もちろん、ここで取り上げた13か国の国情はそれぞれ異なっており、一人当たりGDP別に大きく分けて、シンガポール、日本、台湾の先進国グループ、韓国、マレーシア、タイの中進国グループ、とそれ以下のグループによって港湾に対する要請の程度、港湾政策や予算配分の考え方などにかなりの相違がある。特に、港湾インフラの整備に要する資金の調達能力には大きな差があり、BOTなど民間資金の導入を模索しつつ的を絞った開発投資の実現に苦慮している国が多いといえる。

このような状況下で東アジア諸国が目指す港湾政策の例を2、3ご紹介する。先ず最初に、図-3に、インドネシアにおける港湾セクター長期計画の要点を示す。インドネシアでは1984年に港湾総局(DGSC)がそれまで明確でなかった港湾の規模別、地域別の体系を明確にするため、"海運セクター開発計画(Maritime Sector Development Programme)"を策定した。この計画は当時では画期的なもので、インドネシアの全港湾を大きく4つの地区に分け、その地区ごとに中心となる外貿港湾を1港、すなわち全国で4港指定し(Gatewayports:ベラワン、夕

 

 

 

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