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日本の経済生活は、港湾にかなり影響されている。海岸線が長い(ブラジルの4倍)ということで、その影響力は必然的に大きくなる。国土面積が37万8000平方キロメートルで山岳地帯が多いこの国は、国土1000平方キロメートルあたり、実に80キロメートルもの海岸線がある勘定になる。日本の国内総生産は46億USドル、ひとりあたりにすると3万6700USドルである。

一方ブラジルでは、国土面積は日本の22倍(850万平方キロメートル)。その経済成長は、約8000キロメートルの海岸線上にある港湾の活動を活発化して、いかに国際貿易を拡大するかにかかっている。海岸線は、国土1000平方キロメートルあたり0.9キロメートルの割合である(日本の90分の1)。ブラジルの国内総生産は7億5000万USドル、ひとりあたり4500USドルである。日本の国内総生産に近づくためには、経済規模を8倍に拡大しなければならない。港湾活動を活発化することで海岸地域の潜在能力を引き出し、国際貿易を増やしていく必要がある。

いずれにせよ、もっぱら港湾に関しては、ウォーターフロントプロジェクトは国の発展と国民の生活水準向上に直結する戦略的問題であり、両国にとって慎重に取り組んでいかなければならない主要課題である。もちろん、経済国際化の現代とはいえ、それぞれ特殊事情はあるであろうが。

この問題を深く掘り下げていくと、すぐに典型的ジレンマに陥る。

 

 

 

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