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(質問)

セペティバもリオも港湾の岸壁の所有者はリオ埠頭公社ですか。

(シャビエル氏)

そうです。リオ埠頭公社が所有者で、リオ埠頭公社に対して連邦から財源支援があります。港についてはオーナーであるリオ埠頭公社からほかの会社にレンタルする形になっています。根本的に港湾は戦略的に重要なものだという認識がありますから、所有権を売り渡してしまうということはしません。所有権はあくまでリオ埠頭公社にあって、リースをするという形にします。何年か後には戻ってくるという形にしています。例えばマーケティングや競合の問題が生じた際は、民間会社とリオ埠頭公社がパートナーという立場で当たっています。どちらがリーダーシップを取ってどちらが追随するという形ではなくして、パートナーとして共同で当たっていくという関係にあります。

(質問)

イギリスで言う民営化と概念が違いますね。

(シャビエル氏)

港湾近代化法ができるまで時間がかかりましたが、その間、英国、フランス、アメリカからいろいろなことを勉強させていただきました。特にアメリカについては、いろいろなやり方で民営化を進めていることを勉強しました。例えばニューオリンズ港では、一旦すべて民営化しておいて、徐々にまた公営化に戻して、また民営化してというサイクルを繰り返しながら、どこが一番いいバランスかを探っていったような形を取っていたようです。そういうことも学びました。私どもは、ブラジルは港湾開発のいいモデルになれるのではないかと思います。形的にはニューオリンズやベルギーのアントワープに似た形ではありますが、ブラジルはブラジルのモデルだと思っています。リオ埠頭公社も、他国には前例のない組織になりたいと考えており、マネージャー・レベルから、関係する企業の方々まで、みんなで一生懸命学ぼうとしています。例えば私の会社では、2年前には従業員が3,000人いました。それを2年間で3分の1の1,000人にまで減らしました。来年末までには恐らく500人ぐらいに減ると思います。しかし、勢力の強い労働組合がありますが、押しつけではなくて、何もかも話し合って、常に見直しながら事を進めていますので、これまで労働争議で港湾機能がストップしたことは一回もありません。

(質問)

今回のブラジルと日本の比較で一番重点を置く力点は何でしょうか。

(シャビエル氏)

まず第一に、組織的なシステム、港湾管理者と民間会社と政府がどういうシステムでプロジェクトに関わっているのかを知りたい。第二に、具体的なプロジェクトを例に取って、特に民間との協力関係がどのように進められているのかを知りたい。例えば今世界中のウォーターフロント開発でユニークな水族館があちこちで建てられていますが、実はリオデジャネイロのマウア埠頭プロジェクトでも、同じような水族館を民間会社と造ろうではないかというプランが持ち上がっています。例えば水族館に関して、技術的な面、システム的な面で、日本ではどのようにされた例があるのかを勉強したいと思います。

・了・

 

 

 

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