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(シャビエル氏)

世界経済における位置づけの点で日本のような国とブラジルのような非常に広大な国とをうまく比較できるかどうかわかりませんが、ブラジルに関して言うと、ベーシックな経済から新しいレベルへとだんだん移り変わってきていると思います。ベーシックな経済といいますのは、第1次産業と言うのでしょうか、例えば鉱物資源などを掘り出してきて、大した付加価値も与えないで、輸出するだけの経済の時代から、レベルの高い経済へとどんどん移行してきている。ブラジル人は基本的に賢くて柔軟性に富んだ国民で、所得水準は低いですが、所得水準が低いことを逆手に取りまして、先進国のための組立産業を振興したり、あるいは非常にいい大学もありますので、技術開発を進めていくことで国の経済のレベルを上げてきました。貨物の取扱いの面で言いますと、RORO船やコンテナ化に対応できるような形に変えてきています。そういう経済の変化の中で港湾は重要だと考えています。今までは国内だけの経済で済んでいたことでも、これから先は世界経済の中のブラジル経済という形になってきますので、そういうことを考えるとき港湾は重要になってくると思います。中でもリオデジャネイロ港は、いわばショールームだと私はとらえています。南太平洋地域のハブ港ですし、ブラジルでも第2の港湾です。また、国内でも有数のすばらしいウォーターフロント開発の例でもあります。リオは世界的に名前はよく知られていますが、サンバやカーニバルだけではなく、港湾のよさ、人々のよさ、文化の豊かさの面で知られる市にしていきたいと思います。

(質問)

RORO船やコンテナ化に対応していきたいというお話がありましたが、どの港でどのような貨物を対象に考えられてますか。

(シャビエル氏)

ブラジルで工業が発達しているのはサンパウロ州中心で、リオは第2番目の位置につけています。サンパウロとリオの間にあるミナスジェライス州が同じく第2位につけています。リオは1960年ごろまで首都で、輸送のインフラが発達しています。市街地への輸送のインフラもそうですし、鉄道、港湾、すべて発達しています。工業に関しては、ある種の工業は港湾の中心では発達しないものがあります。むしろ原料なら原料を産する産地の方で発達するタイプの工業があります。一方、組立産業のように、港湾に近い立地の方がいいので港湾周辺に発達する産業もあります。リオの場合を例に挙げますと、自動車関係の企業が多い。リオの隣のミナスジェライス州ではフィアットの工場がありますし、リオにはメルセデスベンツ、フォルクスワーゲンがありますし、今プジョーもつくっているところです。製鉄所もあります。セペティバ港は、主に穀物を扱う港で、穀物からできる製品(オイル等)をつくる産業が周辺に立地しています。セペティバ港自体の広さは1,000万m2ぐらいしかありませんが、周辺地域を含めると1億m2ぐらいの規模があります。現在ここでは日本の東芝と石炭を使った火力発電所建設の話が進んでいます。このように例えば発電所ができるようなことになりますと、ほかの小さい産業も引きつけられてやってきます。セペティバ港は南太平洋地域におけるハブ港になるという話をプレゼンテーションの中でもさせていただきましたが、港湾だけをとると、とてもハブというような規模ではありません。

 

 

 

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