現在、日本海経済圏市場で運航しているフェリー会社は比較的少ない(たとえば、西日本汽船は中国便を週に一度、もう一社新日本海フェリーの子会社が韓国の釜山便を運航している)。この市場の多くが「フェリーに適した距離」(つまり航行時間24時間以内)だということを考えると、将来新たなフェリーサービスが発展する余地が大いにあるということかもしれない。ここに、ヨーロッパでのフェリー産業発展の歴史と確かに類似する部分がある。ヨーロッパでは、10年、20年前は小型コンテナ船が全盛であったが、今はフェリーが近海貨物輸送の主役になっている。
7. 結論
日本と英国のフェリー産業には明らかに、多くの相違点がある。日本ではフェリーサービスの大部分が内航フェリーであり、ルートも400キロを超える長距離ルートが多い。内航フェリーサービスが陸上の輸送網と平行して存在することは、日本が4つの主要な島(現在は固定リンクですべてつながれているとはいうものの)から成り立っているという事実で、ある程度説明できる。これとは対照的に、英国のフェリーサービスは近海国際フェリーが圧倒的であり、400キロ未満のルートが多い。
輸送内容は、日本のフェリーが貨物中心である(そしてフェリー会社の収入も貨物収入が主である)のに対し、英国では、北海ルートよりイギリス海峡ルートでの重要度が明らかに高いなどルートによる差こそあれ、旅客輸送(そして旅客収入)が比較的重要である。日本では、内航フェリーによる旅客輸送量は長年にわたって減少傾向にある反面、貨物は増えている。英国では近年、旅客輸送量は全体的に比較的安定しており、貨物市場は活況が続いている。日本のフェリー産業と英国のフェリー産業にはこの他にも相違点がある。積荷トラックの平均重量、貨物量の統計のとり方、輸送量のアンバランス、特定ルートでの行き帰りの品目構成といった点である。
日本の内航フェリーサービスの有効性は、「年間に輸送される貨物のうち110億トンキロを担っている、つまり中・長距離を移動するトラックの4台に1台がフェリーを使っている」という事実が如実に物語っている。これは、英国に限らず他の諸国にとっても、モーダルシフトがどの程度まで可能かを示す、非常に明確なメッセージである。日本同様、英国も非常に長い海岸線をもつ国である。しかも現在、ひどい道路渋滞、増え続ける道路交通量に悩まされていて、おまけに道路のキャパシティ拡大のための支出が削減されて、輸送量増加にキャパシティがとても追いつかない状態である。そこで、もし有効な内航貨物フェリーサービスが英国にあれば、国内道路網の逼迫状態を和らげられるのではないか、と考えられる。日本の例からしても、この点については調査がぜひ必要である。
また、使用するフェリーのタイプに関する相違点もある。