いづれにしても、船上販売のうち約半分は免税品であり、フェリー会社は1999年になればこの部分をほぼ丸々失うことになる。
明るい話としては、EUのヨーロッパ単一市場化構想によって、EU諸国間の貿易量が増えていること。それにより、EU諸国経済の単一汎ヨーロッパ国内経済への統合が加速している。また、コンテナからトレーラーへの転換も目覚しい。コンテナ輸送にフェリーを使うことが多くなっていることとあいまって、フェリー会社にとつては追い風となっている。ヨーロッパの域内貨物輸送にトレーラーが使われるケースが増えている、ということは、経済統合が進んでいることの証といっていい。というのは、「(コンテナでなく)トレーラーを使う」のは、国内貨物輸送とまったく同じ扱いだからである。
以上の分析から、「英国には広範なヨーロッパ域内フェリーネットワークはあるが、内航フェリーネットワークはなく、それを構築する政府方針もない。一方日本では内航フェリーネットワークはよく発達しているが、広範なアジア域内フェリーリンクがない」ということが明らかになった。英国では、政府のモーダルシフト奨励策は海よりも鉄道に向けられる傾向にあり、民間貨物鉄道には依然補助金が出されているし、鉄道ターミナルの建設には助成金、鉄道を使った複合一貫輸送をするトラックについては積載貨物の重量制限を緩和するなどの措置がある。読者はおそらく驚かれるだろうが、英国政府は現在、道路輸送の代替え手段として海上輸送を奨励する真剣な取り組みは、一切行なっていない。
対照的に、日本の運輸省が現在取り組んでいる5ヶ年計画では、アジア諸国と日本の各地を直接結ぶ物流ネットワークを整備する必要性を認識している。また運輸省は、内貿が増大して2010年までに26億トンから29億トンに達するだろうと見ており、少なくとも1県につき1港に複合一貫輸送ターミナルを整備して幹線道路網につなぐことを提案している(*22)。そして、それらのターミナルの近くには貨物流通センター(物流団地)が整備される。
テクノスーパーライナー(TSL)については、モーダルシフトを支援するようなプロジェクトになりうるのかどうか、日本のフェリー会社はまだ確信が持てないでいる。TSLは、高速(50ノット)内航貨物船として提案されたが、燃料費、貨物キャパシティ、海上での安定性・走行性、料金レベルなどが主なネックといわれている。フェリー会社の話では、TSLは輸送コストは4倍なのに航行時間は半分にしかならず、現時点ではあまり魅力的とはいえないという。したがって現実的には、航行速度30ノットまでの(そしてTSLほど燃料を食わない)ディーゼルエンジンフェリーに換えるという形で、高速化を引き続き行なっていくことになりそうである。
国際フェリー部門は、日本とアジア諸国との貿易が急拡大していることから、近い将来大きく伸びるとも考えられる。1983年から1993年の間に対アジア貿易は3.7倍になっているのである。日本は今や中国の最大の貿易相手国で、中国の外国貿易全体の実に20.7%を占めており、その多くはすでにコンテナ化されている(*23)。両国間を行き来する貨物は、1992年から1996年の間に倍化したと推定されており、その多くは国際遠洋輸送船と地元を拠点とする定期船によって運ばれている。