ただし、アイリッシュ海ルートおよび北海ルートでは、両社別々の路線を維持していく。海峡トンネルとの競合の結果、イギリス海峡ルートで輸送キャパシティが多少縮小したものの、英国―ヨーロッパ大陸間の貨物フェリーの需要は伸びている。特に、イングランド北部からヨーロッパ大陸への長距離ルー卜への需要は拡大しており(イングランド南東部の渋滞の激しい地域の陸送を避けようというわけである)、1、2社の顕著な例外(*19)をのぞいては、ほとんどのフェリー会社が引き続き利益を上げている。
日本旅客船協会によると、日本のフェリー会社の利益率は低下してきている。旅客輸送量のピークは1992年から1993年にかけてで、以来減少傾向にある。トレーラーは増えているものの、一台あたりの収入は減少している。しかし、陸送費用もそろそろ下げ止まりで今後は上昇傾向に転ずるだろうといわれているし、船の性能もよくなっている。トラック輸送費用が上がってきているのは、燃料費増大や高速道路通行料値上げの他に、週40時間制の導入によるドライバー不足が原因となっている。一方、フェリー会社のなかには、政府はガソリン税を道路の拡張や整備に充てて道路輸送の競争力を高めていると指摘する向きもある。
ただトラック云々とは別に、カーフェリー会社自身、引き続き、より安く、より速く、より信頼のおけるサービスの提供につとめている。業界は、規制緩和を待ち望んでいる。現在、安全上の理由と緊急時の対応に必要として多数の乗務員を乗船させることになっている(なかには1クルー(必要な人員一式)が40人から45人で、1隻あたり3クルーから5クルーが乗務している船もある)が、その規制が緩和されれば乗務人数を減らすことができると期待している。日本のフェリー会社は、今度RoPax船がもつと導入されて、自分たちもヨーロッパと同じ方向に進んでいくと考えている。つまり、ますます貨物(いつの場合も核となる市場)重視、(トラックドライバー以外の)旅客の比重はやや軽くなっていくと見ている。規制緩和がさらに進んで、運賃届け出(値引きが当たり前の現状では、どう見ても時間の無駄である)の必要がなくなり、事業免許制が緩和される可能性もある。
こういった状況のなか、日本の内航長距離フェリー部門はかなり好調である。長距離フェリーの競争力は証明済みで、モーダルシフトもかなり進んでいる。さらに、長距離フェリーは今や、高速道路と結びついて港湾の背後圏を拡大する、いわば全国的高速道路網の一部分としてとらえられている(*20)。しかし、需要を喚起するためには、もっと多くのフェリー会社がトラック輸送会社や一般物流会社と手を組んで、集荷力を強化していく必要がある。
一方ヨーロッパでは、1999年に船上での免税品(主にたばこと酒類)販売が廃止されれば、フェリー会社の競争力は弱まると見られている。船上販売全体の売上げは、ルートによってずいぶん違い、たとえばイギリス海峡ルートではフェリーの全収入の34%にもなる(ちなみに旅客からの料金収入は42%、貨物は25%である)のに対し、アイリッシュ海ルートでは29%である(*21)。