6. 競合状況
フェリー産業の構成は、日英で大きく異なっている。日本の中・長距離市場では、マリンエキスプレスのような大手でも、マーケットシェアは旅客市場で4.7%、トレーラー市場では5.5%しかないと推定されている(表9参照)。トレーラー市場でのシェアはブルーハイウェイラインで推定8.5%、新日本海フェリーは7.7%である。いずれも、市場全体に圧倒的シェアをもっているわけではない。他社は合計でおおよそ、旅客87.5%、貨物78.3%のシェアである。もちろん、地域性も多少あろうが(たとえば、本州一北海道間の市場と本州一九州間の市場とでは、シェアの図式も変わってくるのだろうが)、各地とも多数の企業が競合しており、全体としては比較的シェアが分散しているようである。ということはつまり、フェリー会社間の熾烈な競争があるということである。
<表9>
一方英国では、わずか2社(P&Oとステナライン)で、英国の国際旅客フェリー市場の67%、トレーラー市場の60%を占めると推定される(表10参照)。特にトレーラー市場では、P&O一社で英国全体のほぼ半分のシェアを握っている。このように、英国のフェリー産業はP&Oとステナラインの2社にシェアが集中、他社を圧倒する形になっている。両社とも、英国国際フェリーの3領域、つまり北海、アイリッシュ海、イギリス海峡すべてでフェリーサービスを提供している。
<表10>
日本ではフェリー会社同士の競争が激しいだけでなく、長距離トラック輸送会社も強敵である。何社かのフェリー会社の話では、道路輸送はほとんどのルートで海上輸送より速いという。たとえば東京から北海道までトラックで行く場合、津軽海峡を渡る短距離フェリーを使ってあとは陸を走れば約15時間で着くのに対し、長距離フェリーだと少なくとも20時間はかかる。大阪から中九州の別府まで、陸上移動距離は700キロ。(ほとんどノンストップで)トラックを走らせればわずか8時間で着く。同じ大阪から別府まで、海上移動距離は450キロしかないが、こちらだと13時間かかる。結果、フェリー会社は道路輸送の速さに対抗するために、運賃の値引きをせざるをえないということになる。
カーフェリー会社は、運輸省に運賃を届け出なければならないのだが、道路輸送と競争していくために、公称運賃から大幅に値下げしているところがほとんどである。たとえば、東日本フェリーの大洗―室蘭ルート(727キロ)は、公称運賃はトレーラー1台あたり13万円(650英ポンド)。しかし実際の運賃はこの半額、6万5000円(325英ポンド)といわれている。