一般に、日本でも英国でも、港湾が旅客や貨物に対する追加料金は科すことはないようである。
日本のフェリーの多くは、車を積み込むためのランプを右舷2ヶ所に取り付ける形になっている。後部船尾寄りに一ヶ所と、船首楼に近い前のほうに一ヶ所である。こういった船の形状は、岸壁側に必要な施設のタイプと密接に関係している。このタイプのランプの他に、船尾に常設ランプをもつ大型フェリーもある。サイドランプだと、伝統的な形状の埠頭に沿う形で船を付けることができるため、油圧式リンクスパンなしで港湾作業が行なえる。ヨーロッパの各ルートで運航中のフェリーは、サイドランプでなく船尾,(あるいは船尾と船首)にランプが設けられている場合が多い。したがって、岸壁側の施設も伝統的な埠頭と違って、リンクスパンと一連の係船柱というのが一般的である。ただし、大阪港は明らかにこの(ヨーロッパ)タイプの港湾設備になっている。
荷役に関しては、日本には「港湾の荷役作業員を雇わずに、トラックドライバーがカーフェリーに(ヘッド付きあるいはヘッドレスのトレーラーを)積み降ろししてもよい」という法律がある。この法律は約25年前、フェリービジネスが拡大し始めた頃に、カーフェリーについては他の貨物船とは違った港湾労働の取り決めが必要と当局が認識し、制定したものである。ただし、特定重要港湾では貨物を船外(つまり埠頭)に移動させる際には荷役作業員を雇わなければならない。一方英国のフェリー会社は、ヘッドレストレーラーを船に載せたり船から降ろしたりする際には、自社の労働者を使う傾向にある。1989年に国家港湾労働計画(ナショナル・ドック・レイバー・スキーム)が廃止され、以来、フェリー会社は荷役作業を誰にやらせてもよいということになっている。
東京の有明や川崎など、大都市型フェリーターミナルでは、トラックの駐車スペースが足りないという深刻な悩みを抱えている。これらの港では、道路渋滞が激しいために陸側のアクセスという面でも問題がある。函館のような比較的小規模な港でも、道路が狭いがゆえのアクセス難がある。さらに海上からのアクセスという面では、理想とはほど遠い状況の港もいくつかあるようである。たとえば、東京港や川崎港に出入りするフェリーは、東京湾内に入ると航行速度を(25ノットから何と12ノットまで)落とさねばならず、入港時・出港時それぞれ約2時間ずつ減速航行している。理想的には、フェリーターミナルは、入港から出港まで(ターンアラウンド)の時間を最小限にするために公海に近く、道路渋滞を避けるために密集した都市部から遠く、貨物の海・陸移動を速やかにするために幹線道路網に直結している場所につくるべきである(*18)。
英国では、道路渋滞は特に南東部で問題となっている。そして、RoRo輸送活動のほとんどはこの地域に集中している。ただ英国では日本と違い、フェリー港はほぼすべて、密集した都市部からある程度離れている。フェリー港の多くは、小さな町に隣接するか、その近郊にあり、日本のように大都市のど真ん中にはない。公海に面した港が多く、減速航行の必要がないか、あったとしても減速時間は短い。つまり、内陸(川の上流や湾の奥)に向かっての航行が最小限で済むわけで、ターンアラウンドが速やかにできるのである。英国では現在、重要度の高いフェリーターミナルのほとんどは幹線道路網に直結している。
鉄道との連絡は日本ではあまり重要視されていないようだが、英国でも徒歩の旅客が減っており、鉄道との連絡が重要なのはほんの一部の港だけである。