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新しくフェリーターミナルを造る際には、施設の建設・管理にあたる公社が設立され、国と地方自治体が無利子融資などの形で財源支援する。基本的に、日本のフェリーターミナルはほぼすべて公有である。マリンエキスプレスの川崎ターミナル、ブルーハイウェイの勝浦ターミナル、東日本フェリーの函館ターミナルなど、(過去の経緯から、たまたま民有になっている)例外もないではないが、ごくわずかである。

日本の主要港湾133港の港湾収入は、港湾の総経費の14%をまかなうに過ぎない。港湾収入は主に、船舶の入港料と港湾施設使用料から成り立っている。港湾管理者の収入のうち、18.5%は国庫負担金、国のローンが37%、地方自治体の一般財源からの繰り入れが19%である。対する支出の主な項目は、港湾施設整備費(48.5%)、管理費(22.6%)、ローン返済(19.6%)などである。このように、日本の港湾は国から多額の補助を受けている。

港湾の開発・管理に関する英国の状況は、まったく異なる。英国では主要港はほぼすべて民営化されている(つまり売却され、所有権が実際に官から民へと移転している)(*14)。現在公共セクターに残っている主要フェリー港は、トラストポートになっているドーバー港とベルファスト港(*15)と、地方公共団体所有のポーツマス港だけである。これら3港をのぞき他の主要フェリー港はすべて、民間企業が所有・運営しており、フェリー会社が所有している港もいくつかある。ほとんどの場合、民営化された時点で港務局は解散となり、その職責は新たに港湾所有者となった民間企業に引き継がれている。

英国政府は港湾産業からほぼ手を引いており、港湾の計画および開発はもはや政府の機能とはみなされていない。新港の建設や既存港の整備は、基本的にはマーケット(言い換えれば各港湾)が決めることなのである。英国政府から港湾への補功は一切なく、各港湾は利用者から集める港湾使用料ですべての経費をまかなうべしとされている。経済後進地域(たとえば北スコットランドや北アイルランド、ウェールズ)の港湾は、EU地域開発基金(ERDF)のもと、新しい港湾インフラ建設のための財源支援を受けられることになってはいる。ただ、そういった支援も必ず受けられるわけではなく、どちらかというと例外的。いずれにせよ、支援の絶対額自体が縮小傾向にある。

港湾政策に対するアプローチの仕方が日英両国でこれほど対照的なのは、基本的思想の相違によるといえる。日本では、港湾は各地域の産業や人々の活動を支えるのに必要な重要なインフラと位置づけられている。港湾整備は地域開発の要であり、地域社会に間接的インパクトを与えるという考えである(*16)。これに対して英国では、港湾は単純にビジネスであり、経済一般のどのビジネスもそうであるように、売買されることもあるし、廃業さえあると考えられている。その結果、政府による売却に加えて、最近では民間港が売りに出されるケースもある。たとえば、フィリクストー港(*17)やハリッジ港、テムズボート港、メッドウェイ港、ティルベリー港(ロンドン)の主要施設などである。

港湾の料金体系については、英国では各港湾に任されている。料金のレベルは、最終的には競合の程度によって決まるという前提に立ってのことである。

 

 

 

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