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英国政府が新船建造に何の財源補助も行なっていないのに対し、日本政府は船舶整備公団を通して長期の低金利ローンを提供し、フェリー会社の新船建造を助けている。2.4%から3%の金利で最長16年のローンを組むというのが典型的パターンで、そうして建造費の約80%を整備公団から手当てし、残りの20%を都市銀行からの借入金でまかなうようである。ただ、フェリー会社の話では、銀行からも低利融資が受けられるため、整備公団からの融資なしに新船を建造するケースもあるという。

日本の内航フェリーは日本製で日本船籍でなければならないとされているのに対し、英国―ヨーロッパ大陸間を運航するフェリーにはそういった規制はない。新しいフェリーの建造市場では、ノルウェーやフィンランド、ドイツ、スペイン、イタリアの造船所に比べ、英国の造船業は弱い。英国で最近就航した船では、ステナラインの3隻の大型高速船がすべてフィンランド製。アイリッシュ海に就航したセナルゴのRoPax船はイタリア製(しかもイタリア船籍で、イタリア人乗組員で運航している)で、ノーフォークライン(マエルスクの子会社)のRoRo船は日本製、他の高速船も何隻かはオーストラリアのインキャット製である。さらに、英国のルートで現在運航中のフェリーの多くは、フェリー会社が購入したのではなくチャーターしたものである。

日本のフェリー会社では、乗務員の人件費が何といっても最大のコスト要素で、総運航費用の30%から50%を占めるという。日本の船員(航海士および一般乗務員)の平均年間賃金は、1994年時点で640万円(3万2000英ポンド)(*11)。英国では航海士はイギリス人、一般乗務員は外国人というのが一般的で、平均賃金は500万円(2万5000ポンド)(*12)以下。日本に比べて少なくとも20%は低い。フェリー会社の抱えるもうひとつの問題は、乗務員の過剰配置。特にカーフェリーは、基本的には旅客船であるということからRoRo船より細かい安全規定が設けられており、多数乗務させなければならない。英国―ヨーロッパ間の場合、乗務員の人件費は、RoRo船で総運航費用の約10%、カーフェリーでも20%までというのが一般的なラインであるから、根本的なコスト構成が日本のフェリー産業と英国のフェリー産業とでは大きく異っている。

 

5. 港湾とフェリーターミナル

 

日本の内航フェリー会社が使っている港湾は、約40ヶ所。そのほぼ全部が、特定重要港湾か重要港湾に指定されている。特定重要港湾というのは、外貿振興のために特に重要な港湾で、全国で21港。加えて、112港の重要港湾がある(*13)。港湾管理および整備の責任は港湾管理者、つまり地方自治体にある。国政レベルで港湾行政を司る運輸省は、港湾開発・整備の基本方針を定め、港湾施設整備事業に対して補助金を与える。

特定重要港湾に新しい港湾インフラを建設する際には、運輸省が経費の三分の二または半分を負担し、残りを港湾管理者である地方自治体が負担する。重要港湾の場合は、国と港湾管理者が各々50%ずつを負担する。

 

 

 

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