フェリーとの価格競争、あるいはフェリーならRoRo式でデッキにコンテナを二層積みできるということもあって、近海コンテナ輸送サービスは低迷している。また、鉄道が新しく始めたイギリス海峡トンネルを使った複合一貫輸送サービスの影響もある。フェリーにも影響があるにはあったが、コンテナ船サービスの被ったダメージははそれよりはるかに大きい。現在、英国の港湾に入港する船舶全体の55%はフェリーであり、英国の国際貿易額のほぼ半分を担っている(*5)。これらの数字を見ただけでも、英国の貿易および港湾活動に関するかぎり、フェリー産業が輸送部門全体のなかで最も重要(つまり、国際コンテナ輸送サービスよりも重要性が高い)といえる。これには、今や英国貿易の三分の二が対ヨーロッパ貿易だという事実も背景にある。さらに、英国の国際ユニットロード輸送全体がここ10年、年平均5%で伸びてきており、今も拡大し続けている。
さて、フェリーで運ばれるトレーラーがいわゆるヘッド付き(ドライバーが一緒に乗り込む)かヘッドレス(シャシー部分を切り離して積載しドライバーは乗り込まない)かの内訳は、日本でも英国でもほぼ同じである。ともに、300キロ以上の長距離ルートではトレーラーの80%がヘッドレス、約20%はヘッド付きである。イギリス海峡のようなごく短距離のルートでは逆に、80%がヘッド付き、20%がヘッドレスである。距離的に両者の中間、たとえば函館―青森間の113キロの航路で運航する東日本フェリーの場合は、70%がヘッド付き、30%がヘッドレスである。同様に、大阪一四国間のような中距離ルート(つまり、100キロ以上300キロ未満)では、ドライバーが同乗する割合がかなり高いであろう。
英国の例からすると、ドライバーが同乗する場合の荷の価値は平均して、同乗しない場合の約2倍である(トンあたりの金額は、同乗する場合が73万円(3645英ポンド)、同乗しない場合が34万7000円(1733英ポンド))。短距離ルートのフェリーにヘッド付きが多いというのは一般的に、ドア・ツー・ドア(荷の送り主から最終的な受取人まで)の輸送時間が短距離フェリーは短く、長距離フェリーは長いという事実による。ドア・ツー・ドアの時間が短いことは、高価値商品輸送の基本要件であるし、ドライバーが同乗することで道中の荷の安全性が高まるからである(*6)。
次にフェリー港の集荷圏についてだが、日本でも英国でも、100キロから200キロ圏内に限られる港が多いようである。ただ、高価値で配達時間に制約のある品物は、海上輸送距離を短くしようと遠く離れたフェリー港まで長距離を陸送するため、背後圏はぐっと広がる。青森港とドーバー港はその例で、両港とも、その背後圏は全国のかなりの範囲におよんでいる。日本では、各長距離フェリーサービスの背後圏は、高速道路が伸びるかぎりどこまででも広がっていくと考えられている。新日本海フェリーによると、高速道路網の拡張で新潟港の背後圏が拡大し、東京方面までも含むようになったという。東京から荷を送るのに、東海岸のフェリーサービスを使わずに新潟経由にしたほうが輸送時間が短くて済むと考えられているのである。これは、日本列島が弓なりになっていて、北海道までの航行距離は太平洋岸を北上するより日本海を行くほうが短いからである。