日英フェリー産業比較研究
アルフレッド・J・ベアード
英国スコットランド エジンバラ
ネピア大学ビジネススクール
海上輸送研究室
この報告書は、東京の財団法人港湾空間高度化センターとエジンバラのネピア大学ビジネススクール海上輸送研究室との共同研究の一環として作成されたものである。
1998年1月
1. はじめに
この報告書は、東京の財団法人港湾空間高度化センター(WAVE)とエジンバラのネピア大学ビジネススクール海上輸送研究室との共同研究の結果をまとめたものである。この研究の目的は主に、日本と英国のフェリー産業の主要な相違点を見きわめ、分析し、それぞれにとってのビジネスチャンスと、現在抱えている問題点について明確にすることであった。
この報告書の本編は5部構成になっており、フェリー航路、輸送の流れ、使用船舶、港湾、各マーケットでの輸送機関間の競合状況について、詳細な比較分析・評価を行なっている。今回の共同研究の結果から、フェリービジネスの方向性は日英でやや異なっているものの、フェリー産業が両国の輸送部門にとってきわめて重要であるということが明確になっている。
2. フェリー航路
日本と英国のフェリーサービスは、2つの主要部門に分けられる。離島航路(*1)と、「その他」である。ここでは主に、後者について考える。日本に関しては主に中・長距離(*2)の内航フェリーサービスについて、英国に関しては大ブリテン島とヨーロッパ大陸、スカンジナビア諸国、アイルランドを結ぶフェリーサービスについてである。
日本には中・長距離のフェリーを運航する企業が主要なもので12社あり、これら12社でフェリーによる貨物輸送の70%から80%を担っている。航路は、本州、北海道、四国、九州の主要四島を結ぶ、合計約30路線である(付録AおよびA(i)参照)。長距離航路というとやはり、本州中心部の港(たとえば敦賀港、舞鶴港、東京湾岸の港)と北海道や九州の港を結ぶルートである。長いものから上位19路線を見てみると、航行距離は565キロから1330キロ、航行時間は15時間から39時間となっている。 うち8ルートは一航海で3港を結ぶルートで、その分航行時間も長い。その他のルートは、航行距離が242キロから502キロ、航行時間は9時間から12時間である。その多くは、大阪湾岸の港(大阪港、神戸港)と四国、九州の港を結んでいる。
日本のフェリー産業が主に沿岸・内航サービスであるのに対し、英国のフェリー産業は近海・国際サービスが主である。現在英国では、約24社が約50路線でフェリーを運航している(付録BおよびB(i)参照)。英国のフェリールートは地理的に見て3つに分類できる。アイリッシュ海、イギリス海峡、そして北海である。アイリッシュ海では8社が競合しており、海を横断する路線が約13ある。航行距離は48キロから220キロ、航行時間は1時間から8時間である。イギリス海峡にも13路線。こちらは航行距離39キロから265キロ、航行時間は1時間から10時間で、9社が競合する形となっている。