今後のイギリスのフェリー産業の発達のビジネス・チャンスはどこにあるか。1つ目はヨーロッパとの経済統合、2つ目は沿岸輸送の可能性、3つ目は都市部の通勤のためのフェリー・サービス、この3つです。しかし問題があります。それは、フェリー産業が非常な寡占状態にあることです。2大フェリー会社が市場シェアの何と3分の2を占めている状況です。こういう状況は果たして国民の利益にかなうのかということで、今政府は見直しに入っているところです。もう一つの問題は民営化です。イギリスではたくさんの港湾が民間に払い下げられて、もはや公共のものではなくなっています。民間港の場合、そこの港湾のオーナーである民間会社が取り仕切っていますので、自ら規制などもできる一面があります。それとは裏腹に、所有しているがゆえに港湾に対する巨額の投資を民間会社でしなければいけない面もあります。
(日英の比較)
これから幾つかの表をもとにお話をさせていただきます。たくさんの表がありますので、ざっとしかお話できませんけれども。
まず、船舶に関してですが、船舶技術のみならず、いろいろな面から考察をしています。イギリスと日本のフェリーの船舶の種類について、どういう点が大きく違うかというと、日本には船長の長い、ランプが斜めについている船が多い。これはイギリスとはかなり違います。斜めのランプがあるということは、直線上の桟橋、埠頭を使うことができる。どういうものを運んでいるかというと、日本の長距離フェリーは貨物が主です。それに対してイギリスのフェリーは、旅客、乗用車、貨物、いろいろなものを運んでいます。サービス・スピードについては、日本の長距離フェリーはほとんどが20ノット以上で運航しているのに対して、イギリスは20ノット以下の場合が多い。ご覧のとおり、財源、クルーの面でかなり違いがあります。クルーの人件費については、日本の人件費は非常に高くて、イギリスの人件費の約2倍です。ルートについては、日本は500km以上の長距離ルートが多いのに対して、イギリスはほとんどが500km以下です。フェリー業界の構成は、日本は多くの企業が参加してお互いに競合し合っている状態です。イギリスでは2〜3社による寡占状態になっています。
(フェリールート、ターミナルについて)
お手元の資料の後ろから3枚目に地図が入っていると思います。これは日本の主だった長距離フェリーのルートです。日本のフェリー産業はほとんどが国内輸送です。それに対してヨーロッパは逆の状態、イギリスはヨーロッパの方に目が向いている状況です。ですから日本は沿岸輸送が主であるのに対して、イギリスは近距離の国際ルートが主です。しかし、イギリスのフェリー産業は、ヨーロッパの統合に向けての動きがあるので、今までのルートが国内のような状態になりつつあります。
ターミナルについては、日本にも少数ではあるが、民有のターミナルがあります。たしか函館と川崎にあったと思います。しかし、大半は公有のターミナル、埠頭公社が持っているターミナル、あるいは市町村が持っているターミナルです。それに対してイギリスは、ほとんどの港湾がフェリー会社を含めた民間会社の所有です。いまだに数港はトラスト(イギリス独特の形態)によって所有されています。トラストというのは、官でもない、民でもない、準自治とでも申しますか、アングロサクソン特有の組織です。登録制になっていて、幾つかの持株会社が集まってできています。