日本財団 図書館


034-1.gif

またこの他に、特に港湾を所有するフェリー会社が考慮しなければならないことがある。それは、輸送業という比較的「身軽な」稼業の性質に関してである。輸送業とは本質的に、荷のある(つまり儲けになる)ところに出かけていくものであり、船はまさに動く資本的資産なのである。ということは、将来のある時点で寄港地を変える必要が出てくることも、当然ある。これはまた、新タイプの船舶に合わない港湾がある(たとえば、喫水の深い船舶には大水深の港湾や進入路が必要だとか、内陸部の港湾では寄港する高速船にスピード制限が課されるなど)ということにも、関係している。したがって、(不幸にも)自前の港湾を持っているフェリー会社にとって一番問題なのは、競合各社に比べて往々にして機動性に欠けるということ。当たり前のことだが、港湾は船舶のようにたやすく動かせない固定資産である。故に、港湾を所有しているフェリー会社は所有していない会社に比べて柔軟性が乏しくなる。フェリー会社にとって港湾所有権は、おそらく毒入りの杯のようなものなのだろう。他社と真っ向からの競合は避けられるが、機動性で相対的に不利になることは確実で、大きな投資が必要なこともほぼ確実なのである。

ポーツマスとラムズギットという二つの市有港は別として、英国の地方自治体のほとんどはフェリー港にノータッチである。むろん、地方自治体は地元経済を発展させなければならず、港湾と輸送網を繋ぐ道路の建設はその戦略計画で扱っている。ただそれに関しても、幹線道路建設のための投資をまず、国家高速道路庁、スコットランドの場合ならそのスコットランド事務所に認めてもらわねばならない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION