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海峡トンネルは、価格不安定を招いたといわれ、コンテナ輸送会社のベルライン社が最近倒産した一因ともいわれている。ヨーロッパ側の港湾のいくつかがヨーロッパ委員会とともに、「海峡トンネルは貨物料金が特に安く、(海港および海運)産業に大きなダメージを与えた」と訴えているのも頷ける。しかしながら、ことはそう単純ではない。というのは、フェリー会社は現在MAFI(マフィ)トレーラーに積まれたコンテナ荷をかなりの量運んでいる[1]からである。その上、商品によってはコンテナ(一般的に積み替えに時間がかかる)をやめてトレーラーで輸送するようになってきている。さらに、海峡トンネルの開通前から、海峡フェリーのマイルあたりの料金はどこよりも高いといわれていた。トンネルの影響を考える際には、この点も考慮に入れる必要がある。

 

5. 2 管理と規制

ヨーロッパ大陸、スカンジナビア、アイルランドの港湾の多くは、公有が普通である[11]。英国の港湾がユニークなのは、1980年代から1990年代初めにかけて政府がとってきた民営化政策の結果、多くの港湾が民有になっているという点である[12]。表14は、英国の主要フェリー港を挙げて公有・民有の別を記したものである。

リストに挙げられた27港のうち、7港が公有、20港が民有である。ただ、輸送量という点でいえば、特にドーバー港が公有港(トラスト)であるため、英国フェリーの現在の輸送量の約半分は公有港経由で、半分が民有港経由となっている。この場合、民有港と民営港を区別することに意味がある。というのは、たとえば、ほとんどの公有港では、フェリーターミナルを実際に運営するのはたいていフェリー会社自身で、港湾局は大規模なインフラ投資を担当するという傾向がある。そのような港湾はいわば地主港(landlord ports)で、港湾局は港湾全体が効率的に運営されるようにするのが仕事で、輸送業者を誘致し、新しい設備を提供したりするのである[13]。

しかし、フェリー会社が港湾の所有者となっている英国の現状をみるに、少なくとも2つの問題があるようである。第一に、港湾所有者であるフェリー会社は、自分の港湾でフェリー会社が競合するのを望まないだろうということ。オーナー会社は競合を避けるために、適切なバースの提供を拒否したり[14]、逆インセンティブとして高い入港料を科したりして[11]、他会社の新規参入を阻止する決定を下すかもしれないのである。第二に、港湾を所有するフェリー会社は、新しいタイプの船を入港させたり港湾の取扱量を増やしたい時に必要なターミナル改修費を、自分で負担しなくてならないということ。最近では、ステナライン社がホリーヘッド港、ストランラー港、ハリッジ港のターミナルにリンクスパンなど新しい設備を導入するのに巨額の投資をした例がある。要するに、一般に公有港近くで互いに競合しながら営業するフェリー会社なら、新しい港湾インフラへの投資は公の港湾局に任せておけばいいが、民間の港湾所有者であるフェリー会社は、新しい船舶に投資するだけでなく、新しい港湾インフラにも投資しなければならない。その点で、不利なのである。

英国では、民間の港湾所有者一必ずしもフェリー会社とは限らない―が、投資に見合うだけの見返りがあるかどうかわからないために時宜を得た巨額の投資をするのに二の足を踏んだ例が、実際にある(たとえば、マーシー・ドックス・アンド・カンパニーズ社が河川沿いのフェリーバースへの投資をなかなか決断しなかったために、新しい大型フェリーは依然港湾入り口の閘門を通らねばならなかった。これは、フェリーにとっては大変時間のかかる時代遅れの手続きなのである)[15]。

 

 

 

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