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他の輸送モードに比べて陸送は速くて安いため、企業も旅行者も、旅程に占める陸送時間の割合を増やして海上での時間を最小限に抑えることで満足してきた。そういった流れのなか、航行ができるだけ短くなるような、外洋に面した港が重宝されてきた。しかしながら、そういった外洋港贔屓にも変化の兆しが出てきている。道路渋滞や増え続ける道路輸送コスト、それに陸送とほぼ同じスピードが出る高速フェリーが導入されたこともあって、多少航行距離は長くなっても新しいルート、陸送が少なくて済むよう都心近くにまで達する新しいルートが開発される可能性がある。たとえば、シーコンテナ社には、1998年からリバプール=ダブリンルートに高速フェリーを導入する計画がある。このルー卜は、代替えルートのホーリーヘッド=ダブリンルートの1.5倍の長さだが、総航行時間では立派に競合できるであろうし、出航地、仕向地ともに、主要地区にはるかに近い。

このレポートで既に述べたように、英国貿易が再び大陸に向いてきたことで、英国と他のEU諸国の間の行き来が格段に増えた[9,10]。対大陸貿易が行われる海上ルートは、たいてい近距離であるため、このような貿易の流れのなかでフェリー産業は重要な役割を果たせるようになってきた。その結果、特に北海ルートのフェリー運送が劇的に伸び、ヨーロッパに直接面する英国東海岸の港湾を潤してきたのである。それに対して、西海岸にある伝統的定期船港(たとえばグラスゴーやブリストルは、以前は大英帝国の貿易の主要港として栄えた)は、今は影が薄くなっている。

英国の主要フェリー港全部に必要とされる要件は、道路網との連絡の良さという条件が何よリ重視されていることである。つまり、フェリーターミナルの直近に2車線の自動車道があること。そして、混雑した市街を通らずに運送が可能なこと、特に貨物運送にとっては重要な条件である。英国の主要港(たとえばドーバー、フィリクストー、ハル、ホリーヘッド)のほとんどは現在、そのような条件の整った道路連絡の良さを誇っているが、例外的にまだまだ改良が必要な港湾(たとえばストランラー)もある。

海峡トンネルの開通で、ユーロトンネルとフェリー会社の間で価格戦争が勃発した。競争が厳しくなったことで、フェリー会社の合理化も進んだ。たとえば、オロー(Olau)ライン社のシアネス=ヴリシンゲン線廃止、サリー社のラムズギット=ダンカーク線の便数削減とフィリクストー発の旅客フェリーサ―ビス廃止などである。

 

 

 

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