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5. フェリー港

 

5. 1 ロケーションと競争

海港がフェリー会社やその他の輸送会社にとって非常に重要なのは、いうまでもない。この項では、フェリー会社が港湾提供者として直面している主要な問題のいくつかについて概説したい。まず最初に、英国の港湾の近代史を簡単に振り返ってみよう。

英国とアイルランドやヨーロッパ大陸諸国、スカンジナビア諸国といった近隣諸国とを繋ぐ海上輸送網の発達は、数世紀を遡る。島国である英国にとって、海上輸送網は常に欠かせないものであった。そして今日でさえ、英国の外国貿易の90パーセントが海上輸送サービスに頼っているのである。

このように、歴史的経済的必然性から、また英国独特の地理的形状にも助けられて、英国の都市の多くは海港近郊に発達したのである。

産業革命は主に19世紀に鉄道網の発達をもたらし、その結果、数多くの「郵船」港が造られた。

郵船港はしばしば「地の果て」に設けられた。つまり、線路が引ける限りの極地にである。そして旅客や貨物は、内陸あるいは沿岸部の多くの中核都市からこれらの郵船港に向けて鉄道で出発し、そこから大陸やアイルランド行きの蒸気船に乗り込んだのである。このように、蒸気機関車と蒸気船とは明らかに一体となって機能していた。そうして英国では、都市型・従来型港と遠隔地型・沿岸港の両方が発達したのである。

20世紀後半、旅客や貨物を海港へ運ぶ手段として、鉄道輸送は道路輸送に凌駕され、現在では英国のフェリー運輸量の90パーセント以上が道路によって港へ運ばれ、道路によって港から運ばれていくのである[8]。英国で鉄道による貨物輸送を阻んでいる大きな問題は、鉄橋の多くが高さの余裕が少なすぎてスタンダードな貨車にトレーラーを載せて運ぶことができないということ。したがって、道路輸送は致し方ないという面も大いにある。

英国には約200と、たくさんの海港がある。これは、陸上輸送が発達する以前の、貿易や旅行のためにほとんどの街が海上交通を必要とした時代の名残であるが、これらの海港のほとんどは昔ほど重要視されていない。国際フェリーということでいえば、現在もなおよく使われているのは30港ほどしかない。そのなかには、歴史的都市港湾(たとえばポーツマス、リバプール、プリマス、ベルファストなど)―もっとも歴史的都市港湾は通常、船の回転率を高めるために海に面して造られているのだが―もあれば、以前は鉄道港であったもの(たとえばハリッジ、フォルクストーン、ホリーヘッドなど)もある。

 

 

 

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