運輸省の1995年港湾統計[1]とクルーズ・アンド・フェリー情報の1996年クルーズとフェリーに関する総統計[5]である。それぞれ別の年の統計だということは承知のうえでこれら二種のデータソースを用いたことで、データの一貫性、信憑性チェックのため、港湾やフェリー会社についてのデータを比較することができた。チェックの結果、統計の数字は、そこから1996年のフェリー会社別、ルート別輸送量をある程度正確にとらえられるものと信ずる。
この項では、英国の主要フェリールートを地域別にみていくだけでなく、1996年に各フェリー会社が各ルートでどれくらいの輸送をしたかを詳しく推定する。英国のフェリー市場全体の推定については後ほどまとめ、また、主要フェリー会社各社の市場シェアについては次項(第4項)で述べることとする。
3. 1 イギリス海峡
イギリス海峡ルートは、東はラムズギットから西はプリマスまでの範囲にある港湾からの路線。1996年、このルートでは7社(その後6社に)が15路線を運航した。海峡ルートはよく、ドーバー海峡と西海峡[6]の2グループに分けられるが、ここでは両者を一括して扱う。1996年、海峡ルートのフェリーが扱ったのは、旅客2800万人、乗用車480万台、トレーラー160万台である(表5参照)。主なルートはドーバー=カレー間で、このルートではステナライン、P&O、ホバースピード、シーフランスの4社が競合している。P&O社は、ポーツマスとスペインのビルバオ間を運航する便数の少ないものも含め、この海峡で5路線の定期フェリーを出している。同社の海峡でのフェリー活動は、ドーバーとポーツマスの二港に集中している。
ラムズギットからの路線は、最近オステンデ(Ostend)行きのオステンデ(Oostende)ラインが閉鎖された後、再編成されている。サリーライン社は現在、ダンカーク行きを便数を減らして運航する一方、ラムズギット=オステンデ(Ostend)線を、高速フェリー会社のホリーマン社と共同運航している。その他、ステナライン社は、1996年にはドーバー、ニューヘイブン、サザンプトンの3港からそれぞれ1路線を運航した。ただ、1996年末にはサザンプトン=シェルブール線を運航している。ステナライン社とP&O社は、ドーバー海峡線での両社サービスの統合案を出したが、英国とEC双方の当局でまだ審議中である。比較的近距離のドーバー=カレー間で運航している他のフェリー会社は、シーコンテナ社の子会社であるホバースピード社と、フランス航空が大株主となっているシーフランス社である。一方西海峡では、フランス資本のブリタニーフェリーズが、貨物運送子会社のトラックライン社とともに、北スペイン行きを含め6路線を運航している。
ドーバー海峡線の航行距離は、短いものでドーバー=カレー間の21海里、長いものはドーバー=ゼーブルッヘ(Zeebrugge)間の65海里である。後者はRoPaxフェリー(つまり、主に貨物を運ぶが旅客も制限数だけ運べるフェリーのこと)である。ドーバー海峡全ルートの平均航行距離は45海里。一方、西海峡では最短で60海里、最長で142海里、平均で99海里である(スペイン行きは除く)。
海峡トンネルの開業は、全体的な影響は予想ほどではなかったものの、フェリーにはかなりの悪影響をもたらした。1996年の海峡トンネルの市場シェアは、イギリス海峡フェリー全体の総計の3分の1をやや下回る程度であった。ドーバー海峡線の輸送量は確かに1994年から1995年にかけて落ち込んだが、現在までに以前のレベルまで戻している。それには、市場全体が5パーセント強のペースで拡大していることも一因となっている。海峡トンネルができたことで、航空会社の旅客シェアも食われている。