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図1.1995年の貨物取扱い量にみる英国港湾の輸送量

出典:運輸省1995港湾統計

 

ただ、貨物量でみるとバラ積み船が4分の3を占めているものの、輸送貨物価値でみれば形勢は逆転する(図2参照)。海事や複合輸送の研究者なら誰しも知っているように、コンテナやトレーラーで輸送される貨物は平均的に、バラで輸送されるものに比べて高価だという傾向がある。この仮説は、英国の港湾で扱われる貨物の価値について発表されている数字で実証されている。ただし、運輸省がそのような統計をとったのは残念ながら1992年が最後で、その時のデータではあるが[2]。それによると、1992年に英国の海港経由で行われた貿易(輸出入)の総額は1780億ポンド。前年に比べ5パーセント伸びている(表4参照)。他の文献でいわれているように[3、4]、先進国の貿易額の約80パーセントがユニット化輸送によると仮定すると、1992年に英国の海港で扱われたユニット化輸送量は総額にして約1420億ポンドで、残りの20パーセント(360億ポンド)がバラ積み貨物だと推定できる。英国ではトレーラー対コンテナの比がわかっているので[1]、それぞれの輸送貨物価値を推定できるわけである。英国では、ユニット化貨物の55パーセントがトレーラー(45パーセントがコンテナ)。この前提で計算すると、1992年時点での英国の海港輸送量のうちトレーラーは、額にして780億ポンド(44パーセント)となり、コンテナは640億ポンド(36パーセント)となる。

 

図2. 1992年の英国港湾における質物取扱い推定額

出典:運輸省1995港湾統計

 

英国でトレーラーがコンテナより多く使われている理由は、ひとつには英国貿易がここ30年でヨーロッパ大陸市場に再び目を向けてきて、遠洋定期船が消えつつあることがある。たとえば1992年には、英国の海港経由で行われるヨーロッパ大陸=スカンジナビア間(つまり、近海、短距離)の双方向貿易は1310億ポンド、英国海港の全輸送価値の約74パーセントにものぼったのに対し、遠洋定期船はわずかに460億ポンド、26パーセントであった[2]。つまり、対ヨーロッパ貿易が3分の1しかなかった1970年代初頭とは、状況が逆転しているのである。

ユニット化輸送量の大きさを計るもうひとつの方法は、主要フェリー港で取扱われる貨物の額をみること。というのは、これまでの分析からすると、積載量の多いフェリーやユニット化港湾なら扱われる貨物の額も高いと思われるからである。まず最初にみていくべきはやはり、英国最大のフェリー港であるドーバー港からだろう。なんといっても、ドーバー港の貨物輸送の実質100パーセントがフェリーである。お察しの通り、ドーバー港は貿易で最も潤っている。1992年には384億ポンドと、英国の海港経由の貿易全体の実に22パーセントに匹敵する額を扱っているのである(表4参照)。第二位は、コンテナ港としては英国最大、ROROトレーラー港としては第二の港であるフィリクストー港。取扱い貨物は264億ポンド相当で、シェアは15パーセントである。ドーバー港同様、フィリクストー港の取扱い貨物はほとんど100パーセントユニット化輸送である。ドーバーとフィリクストーの二大ユニット化港湾を合わせると、1992年の英国の海港貿易の3分の1以上(37パーセント)を扱ったことになる。

 

 

 

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