日本財団 図書館


2. 3 フェリー部門の重要性

フェリー部門に関する学術的分析は、他の輸送部門、特に定期船やタンカー輸送に比べ、あまり熱心に行われないのが、これまでの常である。そのことだけを見ると、フェリー部門は他の部門に比べてあまり重要でないように映るかもしれない。このような誤解が生まれる背景にはおそらく、伝統的定期船輸送が、1970年代初頭のコンテナ化時代の到来によりその概念が根本的に変わっているとはいえ、かなり昔からあるのに比べ、我々が今日知っているようなフェリービジネスは、比較的新しい概念だという事実がある。少なくとも英国の貿易に関する限り、フェリー産業は実に重要なのである。このことは、英国の貿易高のうちフェリーで輸送される割合を他の輸送手段と比較し、英国の海港への入港船舶数を分析してみればわかる。

表3は、その入港船舶数を示したもの。1995年には、フェリーは英国の港湾に入港した全船舶の半数以上(55パーセント)にのぼっている。これだけでも、少なくとも英国においては、今日の輸送業にとってフェリー部門がいかに重要であるか、一目瞭然である。コンテナ船は全入港船舶中わずか4パーセント、一般貨物船は26パーセント、残り15パーセントはタンカーであった。

しかしながら、これらの数字の意味するところは、実のところ何なのか。まず、英国の港湾に入港する船舶では、他の種類の船舶よりフェリーが断然多いということ。となると必然的に、そのようなフェリーの運航に関連してかなりの港湾関係雇用が見込めるということである。さらに、特に旅客フェリーでは多くの乗組員が必要である(大型クルーズフェリーでは悠に100人は越える)。したがって、この分野に関してはさらなる調査が必要には違いないが、フェリー産業は強力な直接雇用者であるといってもいいだろう。また、フェリーは他の船舶に比べて補給も頻繁に広範に必要であり、そのことからも、地元はもちろん周辺地域においても、直接的・間接的雇用が期待できるはずである。この点についても、さらなる調査が待たれる。

016-1.gif

しかし、単に入港船舶数だけでは全体像は見えてこない。たとえば、フェリーは遠洋コンテナ船やましてやタンカーに比べて貨物積載容量が遙かに小さい。図1はその点を示している。英国の港湾を経由して海上輸送される貨物に占める割合は、ユニット化輸送量(つまり、フェリーとコンテナを合わせた量)でも、1995年の英国港湾の輸送量の21パーセント(1億600万トン)に過ぎない。一方、バラ積みその他は79パーセント(4億200万トン)にもおよぶ。

 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION