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これを経済の世界では独占と申します。右側のトレーラーの欄を見ますと、貨物についてはどうかというと、P&O社が45%、ステナライン社が15%、こちらでは水をあけられています。

表11でフェリーのキャパシティーについて若干お話しします。主要なルートの船舶数は177隻です。ほとんどは国内線ですが、イギリス海峡、北海のルートでもかなり走っています。旅客の欄を見ますと、かなりがイギリス海峡の旅客数です。しかし、貨物については北海の方が多くなっています。北海の方は概して航行距離が長いので、どちらかというと貨物が主になっています。旅客はどちらかというと短い航行距離で早く目的地に着きたいわけですので、こちらは使わないという図式だと思います。

(これまでの研究結果)

私が今まで行ってきた研究をざっとお話ししましたが、若干結論を申し上げさせていただきます。イギリスでのフェリー産業は一大ビジネスです。入港船舶数で見ると、他の部門を凌駕しています。貿易量のかなりの部分をフェリーで行っています。コンテナを含めたほかの形よりもフェリーが非常に多い。また、貿易価値の面で見ると50%以上のシェアです。フェリー産業のパターンを見ると、雇用者もかなり大きな役割を占めていると思います。これに関しては統計がありませんので、これからの調査が待たれるところです。

フェリー産業はダイナミックに動いている産業であり、高速船の導入により港に求められる機能も変わってきています。また、新しい場所に新しい港が設けられ、産業全体に根本的な変化がもたらされています。貿易量の3分の2が今やヨーロッパ大陸になっていますが、これはヨーロッパとイギリスが一つのマーケットに統合されていく過程での動きです。イギリスでも道路の渋滞はひどくなっています。政府の方針で、通勤者が起こす渋滞を和らげる方策をするとともに、沿岸輸送(コースタル・シッピング)にも力を入れています。そういうことでこの業界には大きなビジネスチャンスがあると言える反面、先ほど申しましたとおり2社によるほぼ独占の状態になっているという問題点もあります。2社が貿易量全体の3分の2を占めている状態にあり、他の会社が産業に参入しにくいバリアがあるような状態になっていることが問題です。

(港湾の民営化について)

最後に、港湾に関して3つ問題点を指摘させていただきたいと思います。1つ目が所有権の問題、2つ目が投資の問題、3つ目が規制の問題です。イギリスの政府は1980年代に自由政策をとり、それにより多くの港湾が民営化されました。しかし、近頃、民間会社が十分に港湾施設への投資をできていないという問題が発生しています。新しいインフラ設備に投資できないでいます。投資したからといって、どのぐらいの見返りがあるかが読めないからです。港湾の中にはフェリー会社が持っている港湾も幾つかありますが、フェリー会社としては新しい船には投資しなければいけない、港にも投資しなければいけない状況になっており、非常にお高くついています。

民営化のもう一つの側面として政府と規制がありますが、港湾を払い下げたとき、港湾局自体も民営化しています。港湾の所有者となった民間会社がほかの会社の参画を阻む形が可能になってしまっているのです。現在、イギリス政府は港湾政策の見直しに入っています。日本のフェリー産業についても調査、研究をして、イギリスと比較できる形にしていくことが大事ではないかと思います。

 

 

 

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