歳でプラトーに達していると考えていたが,今回入試時に後頭三角波を認めた32名の半数が卒業後消失しており,25歳以降も減少傾向を示していた。
3. 突発性脳波異常およびその後頭三角波との関連
これまでの年齢別に調査した横断面の研究4)9)13)17)19)22)24)25)では,突発性脳波異常の中では徐波群発が最も出現頻度が高く,後頭三角波との関連で有意差を認めたのは徐波群発のみで,その他の突発性脳波活動には差が認められなかった。今回の検討においても,青年期の後頭三角波と突発性徐波群発とは相互に関連して出現しやすく,いずれも脳波の未熟性を示す所見と考えられ,後頭三角波を認める場合の徐波群発はより発達との関連が強く,正常脳波へと変化していく可能性が考えられた。島崎らは後頭三角波と徐波群発の重複出現例について検討しており,臨床的解釈については「保留」として脳波経過を追っていくべきであると報告(23している。今回の結果もそれを支持する結果である。
4. 基礎律動構成要素およびそれらの後頭三角波との関連
正常成人の覚醒,安静開眼時の脳波は,10Hz前後で,振幅50μV前後のα波が連続して後頭部優位に出現し,このα波に振幅10〜20μVの速波が混在しているのが通常の基礎律動である20。
今回の縦断的比較では,分類した群に関係なくα波には変化は認められず,徐波については加齢に伴い高周波数となり,20〜30μVの単調なものに変化(最低周波数の増加,最高周波数の減少)した。これらの変化は,α波は20歳前後でほぼ成熟時期を迎えるものの,徐波については19〜28歳の間であっても変化を認め,成熟過程にあることを示唆している。特に後頭三角波を入試時認め,後に消失したB・群での変化は大きい。
一方,後頭三角波に着目し分類したA群とB群またはB'群との比較において,B群ではA群よりα波は低周波数,高振幅にあるもののB群,B'群では縦断的変化は認められなかった。この機序については不明であるが,比較的に低周波数,高振幅なα波ではあるものの異常αとされるよう