数,振幅,出現部位,徐波の最低周波数などのパラメータを用い,入試時19〜24歳から3あるいは4年後の脳波を縦断的に調査し,以下について考察した。
1. 脳波総合判定の変化
今回の結果では,入試時に境界と判定された18名のうち13名が,卒業後には正常の判定に変わっている。入試時に境界の判定とされた対象の脳波所見は,徐波群発や,δ波や速波の混入による基礎律動の不規則性であったが,正常の判定に変わった13名中11名がα波の全般化の傾向から後頭部優位への変化,徐波,速波の減少または低振幅化に伴う基礎波の不規則性が改善,さらに徐波群発が消失したものである。また,卒業後も境界のままであった5名も徐波群発の頻度や振幅,基礎波のirregularityは改善の傾向にあった。これは,われわれが行なってきた2000名にも及ぶ,年齢と脳波総合判定という横断面における調査4)9)13)17)19)22)24)25),脳波総合判定で異常の出現率が加齢により減少する傾向がみられたという結果を支持するものである。
一方,入試時正常であった者のうち8名が卒業後に境界となったが,そのうち5名は基礎律動の異常で覚醒度との関係は否定できなかったが,脳成熟の過渡期にある青年期においては,突発波を含む脳波上の異常に正常脳波へと変化することが今回の調査でも示された。そこでわれわれは,最も代表的な未成熟性の指標として後頭三角波に注目し,他の基礎律動構成要素の成熟度や突発性脳波活動との関連について検討した。
2. 後頭三角波
成人の後頭部徐波については,人格障害患者,精神分裂病患者でより高率に出現するという報告10)や,攻撃性,反社会的行動などとの関連1)2),遺伝や脳成熟の遅れとの関連を指摘する報告1)2)10)11)があるが,若年者においては脳の末熱性の表現と考えるのが一般的である。17〜24歳を対象とした,2000名に及ぶこれまでのわれわれの調査4)9)13)17)19)22)24)25)では,後頭三角波は16.1%に認められず出現率は年齢とともに有意に低下し,22〜23