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た。またA群とB群を比較すると,入試時,卒業後ともB群では,最低周波数がA群より有意に低値であった。すなわち入試時,卒業後ともB群ではA群より徐波が低周波数であった。

(b) 振幅(図6,7)

全対象,A群において,入試時に比べ卒業後で最低振幅は有意に増加しており,B'群においては入試時に比べ卒業後で最高振幅が有意に減少していた。またA群とB群を比較すると,入試時,卒業後ともB群では,最低振幅,最高振幅ともA群より有意に高値であった。すなわち入試時,卒業後ともB群ではA群より徐波が高振幅であった。

(c) 分布,出現量

いずれも特徴的な変化は認められなかった。

 

3. 突発性脳波異常(表2)

 

突発性脳波異常が認められたものの一覧を表2に示した。入試時8名,入試時には認められず卒業後に初めて認められた3名の計11名に突発性脳波異常を認め,そのうちの10名が徐波群発であった。入試時に徐波群発を認めた8名中5名に後頭三角波を認め,そのうちの3名(表2のA,B,C)は後頭三角波の消失とともに徐波群発も消失し,判定も正常となった。卒業後に後頭三角波が残存した2名中1名(表2のD)は徐波群発は消失したが,基礎律動異常が認められ,他の1名(表2のE)は徐波群発に変化はなかった。入試時には認められず卒業後に初めて徐波群発を認めた2名中1名(表2のI)は入試時より後頭三角波を認めていた。

 

?W. 考察

 

脳波基礎律動の成熟時期は,18〜20歳とする報告が多い。しかし,成熟過程は徐波,α波,β波,それぞれによって少しずつ異なり3)5)21),さらに各周波数帯域によっても異なるとの報告も多い8)14)15)16),しかし,青年期の脳波所見を同一個体について追跡観察した報告は少ない。今回われわれは,前回報告した脳波成熟過程の指標となる後頭三角波や,α波の周波

 

 

 

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