死亡率の独立した予知因子なるなどの報告はあるが、尿中mAlb排泄量の正常例においても高血圧合併症の進行した症例をしばしば経験する。そこで今回の検討では、運動負荷時の血圧の変動や尿中mAlb排泄動態が心臓や腎臓などの合併症にどのように関わっているかを調べ、尿中mAlbが心血管系疾患の予知因子と成り得るかどうか検討した。
2、 対象および方法
(1) 対象:顕性蛋白尿を有さない末治療本態性高血圧症患者(WHO分類I期、II期)30名(HT群;50.6±8.6歳)、および正常血圧を10名(NT群;46.1±8.3歳)を対象とした。
(2) 方法:金例に超音波断層心エコー検査、眼底検査、トレッドミル負荷試験(TMET)を行った。さらにTMET施行前後で採血・蓄尿を行い、尿中電解質・mAlb・β2MG・NAG・Crを測定し以下の収用について検討した。なおTMETにおいてBruceProtocolでTarget Heart Rate(THR)≧90%を達成できなかった症例は対象より除外した。
1) 負荷前尿中mAb(pre-mAlb)および負荷後mAb(post-mAlb)-(pre-mAb)を△mAlbとして、負荷前後の尿中mAb排泄動態が高血圧群(HT群)と正常血圧群(NT群)で差があるかどうか検討した。
2) HT群を△mAbの程度により、少量群(HT-L),中等度群(HT-M),大量群(HT-H)の3群に分けて、負荷前後の血圧値の変動との関連性を調べるために、負荷前血圧・終了時血圧・△血圧について比較検討した。
3) 高血圧の心臓合併症の指標として超音波断層心エコー検査の所見と負荷前後尿中mAlb排泄動態との関連性について検討した。なお高血圧に伴う心臓合併症の指標として超音波断層心エコー検査より計測した値より次のような式で左室重量係数(LVMI)を用いた。
LVMI(g/?u)=0.8[1.05{(LV end-diastoric dimensiontt ventricular septum+LV posterior wall) 3-LV end-diastoric dimension 3}+0.6]/BSA(g/?u)