向が示され、Y=-0.002X+0.6328の回帰式が得られた。ボランティアは視物質の分光特性には差がないと考えられるため、このシフトは水晶体の黄色化など中間透光体の影響が関与している可能性が示唆された。
?W. 考察
加齢に伴い視機能が低下することは多くの研究者により指摘されており、その主要因として透光体の変化による光学的要因と、網膜から中枢に至る神経学的要因が挙げられている。しかし光学的要因はわずかとする説や網膜からの視覚伝達路の変化は軽微であるとする説などがあり、いまだ明らかにされていない1)。今回我々は、動的視野、青鉾体系感度、視力および色覚について加齢による変化を調査しその要因についても検討した。
1. 視野の加齢変化
1) 動的量的視野
加齢により視野が変化することは知られているが、同一被検者における経時的な変化を検討した報告は少ない。今回、平均観察期間が6年8カ月という短期間ではあるが、同一症例の経時的な視野変化を検討する機会を得た。その結果、30〜34歳の被検者が平均6年2カ月を経た時に、I/4、I/2イソプターにおいて面積、周囲長ともに有意に減少していることが示された(P<0.05)。平成7年度に400例800眼について視野の年代別変化を検討したが、面積周囲長ともにI/4イソプターでは20歳代と各年代の間で有意差が認められ(P<0.05)、 I/2イソプターでは20歳代と40、50歳代の間で有意差が認められた。今回の検討とあわせて考えると、面積、周囲長ともに30歳代後半に減少することが示唆された。さらに、長期にわたる経過観察を予定している。
2) 青錐体系反応
網膜には、青、緑、赤錐体という3種類の錐体細胞が混在しているが、このうち青錐体が最も加齢により影響を受けやすいことが知られている。その要因としては主として水晶体の黄色化を指摘する報告と青錐体系反応自体