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可能な範囲での防音対策が施されているとはいえ騒音環境であり、交信の公用語として英語が使用されている。このような騒音環境下における語音聴取能には、正常聴力者においても個人差が大きく、難聴者においてはその難聴の程度と必ずしも相関しない。

平成9年度の研究の一つとして、日本人が働く職場のうち、英語が公用語として用いられる航空機乗員等の職務を遂行する作業従事者間で、どのように英語の語音の聴取が行われているかという点に着目し、基礎研究として正常聴力の日本人に対し日本語及び英語の語音聴力検査を行った。また、英語の語音聴力検査の結果について、日本語の語音聴力検査や標準純音聴力検査の結果との比較を行うとともに、音素ごとに受聴マトリクスを作成し、日本人の英語の語音聴取特性についての考察を加えた。

 

2. 対象と方法

 

(1) 対象

19歳から36歳までの正常聴力者で、産業医科大学在学中の学生で英会話サークルで活動している者や、大学卒業程度の英語学習経験を有し、現在も英会話等で英語学習を継続する者もしくは海外滞在経験のある者10名20耳を検査の対象とした。

 

(2) 検査方法

検査はすべて防音設備のある聴力検査室にて行った。標準純音聴力検査の測定機器として、RION AUDIOMETER AA-61BNを用いてヘッドホン(RION AD-02)を介して被験者に検査音を聴取させた。日本語及び英語の語音聴力検査では、ALIDIO距配Rに録音再生機(テープ:SONY-TC-D5M、CDプレーヤ:SONY-CDP-XA30ES)を接続して、上記のヘッドホンを介して被験者に語音の聴取をさせた。検査の手順として、標準純音聴力検査を行い平均純音聴力レベルを算出し、正常聴力であることを確認した上で、日本語と英語の語音聴力検査を行った。

 

標準純音聴力検査

 

 

 

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