2. 調査研究
2.1 MSASシステムの概要
MSASシステムの概要及び整備計画について資料-Aに示す。
MSAS、WAAS(米国)及びEGNOS(欧州)の静止衛星を利用した補強システム(SBAS:Satellite based Augmentation System)それぞれが提供するGPS補強のためのサービスはMOPSに準拠しており相互運用性(Inter-operability)が確保されている。
MOPS:MINIMUM OPERATIONAL PERFORMANCE STANDDARDS FOR GLOBAL POSITIONING SYSTEM/WIDE AREA AUGMENTATION SYSTEM AIRBORNE EQUIPMENT
RTCA DOCUMENT NO.RTCA/DO-229 January 16,1996 Prepared by:SC-159及びChange No.1 to RTCA/DO-229
MSASシステムで機上受信機が得られるサービスは以下のものがある。
1) 測距情報の提供
MTSATからはスペクトラム拡散された測距用の信号が放送されており、機上受信機はすでに存在するGPS衛星群からの信号の観測によって得られる衛星と機上受信機間の距離観測情報に、MTSATからの距離観測情報を加え測位演算を行うことにより同時に利用出来る衛星の数を増やすことができ、利用率と連続性の改善を図る
2) 完全性の確保
MSAS用地上のモニタ局群でGNSS衛星の健康状態を監視し、何らかの異常が発見された場合、ただちに当該衛星の使用不可の情報をMTSATから放送する。これによって機上受信機は異常衛星を測位から排除することができる。
3) 測位精度の向上
地上の局では衛星の測距情報の誤差成分を故意の精度劣化(SA)によるもの、衛星時計及び軌道の誤差によるもの、電離層によるものの三つの要素に分離して計算し、MTSATから放送する。機上受信機では各々の要素から衛星毎に擬似距離に与える誤差の大きさを推定し、距離観測情報に補正を施した結果によって測位演算を行うことにより、広い範囲において、精度を改善することが出来る。
MSASシステムの概念図を図2.1に示す。