データ表示方法については実際のパイロットの意見とデータ表示部の処理能力とを考慮して詳細設計時に改めて検討する必要があるが、図5-16に示した表示方法がデータ処理部で実現可能でかつパイロットが他機の動きをある程度把握できるものと考えられる。
また高度については他機の(推定)高度と自機高度との高度差を表示することで、自機を中心に周囲の状況を判断するパイロットが容易に把握可能と考えられる。
(5)音声警報
パイロットは通常機外および計器を監視しているため、トラフィック情報は単にデータ表示部に表示するだけではなく、危険度に応じて音声警報で報知する必要があると考えられる。
危険度の判定は、例えば自機位置と他機の推測位置との距離および高度差で行う。ここではFAAが研究中のTISを参考にして「距離5NM以内、かつ高度差1200ft以内」と定める。なおIFR機に対して管制官が設定するレーダーセパレーションも一般に5NM(レーダーアンテナからの距離が近い場合には3NM)である。この場合、自機の後方を横切る機体など、衝突のおそれのない他機も対象となるが、小型機(特にヘリコプタ)の運動特性が高いこと、および警報はRAではなくTAであることを考慮して対象に含めることとする。
また音声警報については音声合成処理が望ましいが、機上ハードウェアの面で困難な場合は、航空機ID毎に近接状態になった時に音声(喚起音)でパイロットに報知するよう定める。