場合は、地上評価装置において模擬のトラフィック情報を生成する必要がある。
(2)データ送信形態
(1)で述べたように試作評価システムで実現するトラフィック情報提供機能は
・空対空の放送型データリンクで実現されるADS-B
・地上の航空管制レーダーからの情報を放送するトラフィック情報提供
の両方を模擬する。それぞれをACARSで模擬する方法としては次のような方法がある。詳細については7章参照のこと。
(a)個別送信(空対空のADS-Bの模擬)
ある航空機Aからの位置通報を受信すると、地上評価装置では瞬時に周辺空域を飛行している他の航空機を洗い出し、それら全ての航空機に向けて機体Aの位置情報を送信する。この場合トラフィック情報メッセージはデータ送信機数とデータ受信機数の積に比例して増加するため、機体数が増加すると通信容量が飽和するおそれがある。
(b)蓄積送信(地上レーダー情報の模擬)
地上評価装置はレーダー更新間隔に相当する時間△tの間、各航空機からの位置通報を蓄積し、まとめて定期的に全航空機に向け送信する。但し実際のレーダー更新間隔(数秒オーダー)に△tを設定すると、ACARSの通信容量が飽和する可能性がある。
(3)データ項目
トラフィック情報提供の目的は衝突防止のためのTAを提供することであるため、位置(緯度、経度)、高度、データ時刻のような基本情報の他に「対地速度」「トラック角」「昇降率」を付加情報として設定する。
また管制官のレーダスコープに表示されているものがQNH補正後の値のため、地上評価装置においても航空機の高度はQNH補正後の値で管理し、トラフィック情報に含まれる高度もQNH補正後の値と定める。
また航空機を識別する方法としては航空機登録記号(例:JA9001)とフライトID(例:JL0234)が利用されているが、フライトIDは定期航空会社の航空機のみが持っているため、ここでは航空機登録記号を識別のために用いる。
以上からトラフィック情報として以下の項目を想定する。
?ACID(航空機登録記号)
?位置データ時刻、緯度、経度、(QNH補正後の)気圧高度
?対地速度、トラック角、昇降率(付加情報)
(4)表示方法
文字でトラフィック情報をパイロットに伝達しても効果が薄いため、機上評価装置のGPSマップディスプレイ上へ重畳表示させる。以下に表示例を示す。