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4. 地上支援システムの動向と分析

 

本章では、これまでに調査した小型機運航の現状と問題点(第2章)および国内外の地上支援システムの開発・運用状況(第3章)と、将来の通信システムの動向を踏まえて、導入すべき地上支援システムの検討を行うとともに、データリンクを利用して提供すべきアプリケーションを導き出す。さらに将来の地上支援システム構成と実現・運用コストの分析方法について記述する。コストの定量的な分析は、評価試験結果を踏まえた上で、最終年度において実施することとする。

 

4.1 データリンクシステムの動向

 

近年、航空移動通信の方法として、衛星通信、デジタル通信等の新たな通信手段が出現し始めるとともに、空地サブネットワークおよび地上基盤ネットワークを統合したATNへの移行も進められており、現在はその過渡期にあるといえる。本節では、構築する地上支援システムが、次世代通信システムの中でどのように位置づけられるべきか、またそれぞれの情報の各航空機への提供はどのような形態で実現されるべきか、すなわち放送型あるいはアドレス指定型の得失についての考察を行う。

 

4.1.1 次世代通信システム

 

小型機運航に対する地上支援システムは、次世代の航空保安システムの基盤となるFANS構想に合致したシステムとして構築していく必要がある。FANS構想で採用される空地通信ネットワークは、国内から洋上にわたって航空機―地上間に同品質のデジタル・データ通信およびデジタル音声通信機能を提供するものである。広範囲に高品質かつ信頼性の高いデジタル通信機能を提供するため、空地通信ネットワークは次の3つの新通信技術を採用している。

 

(1)AMSS(衛星移動衛星業務)

(2)VDL(VHF波デジタル通信)

(3)SSRモードS(個別選択呼び出し機能付き二次監視レーダーによるデータ通信)

 

(1)〜(3)に示す通信技術の特徴を表4-1に示す。

 

 

 

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