3.2.5 多目的放送型データリンク
(1)概要
(a)MITRE社における多目的放送型データリンクへの取り組みに関する概要
MITRE社のCAASD(Center for Advanced Aviation System Development)では、気象情報やトラフィック情報を放送型データリンクによって提供することができるMultipurpose Broadcast Data Link(多目的放送型データリンク)の研究を進めており、UAT(Universal Access Transceiver)と呼ばれるトランシーバや、ARP(Airborne Research Prototype)と呼ばれる機上表示装置のほか、GBS(Ground Broadcast Server)と呼ばれる地上放送サーバーを含めたシステム全体の開発・評価を行っている。
(b)調査対象
多目的放送型データリンクに関する調査は、米国バージニア州のMITRE CAASDオフィスにおいて委員会調査団によるヒアリング形式で実施した。ヒアリング対象者は以下の通りである。
MITRE社CAASD Mr.?Frolow,Mr.Rob Strain,他10名
(2)多目的放送型データリンクの概要
多目的放送型データリンクの研究は1995年の終わり頃から開始された。多目的放送型データリンクは、主にADS-B、TIS-B、FIS-BおよびDGPS補正情報の放送による提供を、独自に開発した通信プロトコルによって実現するものである。1997年11月現在で、すでに概念研究および基礎試験は終了しており、国内および国外の民間企業へのライセンス技術移転を実施中である。
放送型サービスの内容は、以下の通りである。
(a) 航空機からのメッセージ
・ADS-B(基本的な航空機飛行状態データ)
緯度・経度、対地速度、高度、昇降率、24ビットのICAOアドレス、飛行コース等
・補足的データ
パイロット意志、航空機のコールサイン、パイロットの気象報告、緊急状況等
(b)地上システムからのメッセージ
・TIS-B:トラフィック情報の放送
・FIS-B:気象情報および航空情報の放送
・DGPS補正データの放送