2.3 地上支援システムの現状と問題点
VFRによる飛行はVMC(Visual Meteorological Conditions:有視界気象状態)のもとでのみ可能であるため、飛行中においては刻々と変化していく気象状況を常に把握する必要がある。また安全に飛行を実施するためには気象情報以外に、飛行する区域の地形、障害物、不時着可能な場所、その他航空保安施設の運用状況などの事前把握が必要である。
本節では小型機運航に対して現在行われている地上支援の現状を調査し、その問題点を洗い出す。
2.3.1 国内の地上支援システム
小型機の安全運航に必要な情報は、日本においてはAEISセンターまたは運航者自身が持つカンパニー無線から提供されている。ここではAEISセンターとカンパニー無線の現状および問題点について述べる。
(1)AEIS
(a)概要
AEISセンターが行うAEIS業務とは、航空交通管制部の管制通信官が行う飛行中の航空機に対する飛行業務の提供、これらの航空機からのPIREPの取り扱い、その他飛行中の航空機の安全に必要な通信に関する業務である。
AEIS業務は「対空送受信」「対空送信(放送)」「情報収集・交換」の3つに分類される。
?対空送受信
対空送受信では、航空機局より運航に関する通報(ルート変更、目的地変更、到着・出発など)やPIREPを受信すると同時に、飛行中の各航空機に以下の情報を提供する。
・気象情報などに関する情報
SIGMET、ARMAD、METAR、SPECI、FCST、気象レーダーエコー情報、TREND、その他気象機関が発表する情報、気象画像情報および火山活動に関するPIREP
・航空保安施設等の運用状態の変化に関する情報
・航空交通に関する情報
・その他の飛行情報(現在飛行中の航空機に影響を及ぼすと認められる情報)
?対空送信(放送)
対空送信では、情報空域を管轄するそれぞれのサイトから以下の情報を航空機に向け送信する。情報の提供は原則としてテープレコーダーを使用し、情報を3分内の長さに編集し送信する。放送内容に変化があった場合は随時更新される。
・エンルート情報(航空機の発着に関わるものを除く)
SIGMET、台風に関する情報、気象および火山活動に関するPIREP
航空保安施設等の運用状態の変化に関する情報