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2.2 SATCOM音声通信の稼動実験・評価

(1) 概要

本評価実験のための模擬通信を行った各便において、模擬通信の開始時や終了時等にSATOM音声通信による連絡を行い、その有効性の評価を行った。北太平洋においては、アラスカ最北端のポイント「バロー(BARROW)」(N7116W15647)及び「デッドホース(DEADHORSE)」(N7012W14825)の2地点やその近傍からのSATCOM音声通信を試みた。また、シベリアルートにおける最北端地点である、「バンタ(BANTA)」(N6557E08312)付近からのSATCOM音声通信についても試みた。

その結果として、いずれの地点からの音声通信試験においても、

・ 接続

・ 感度

・ 明瞭度

については、良好であり問題点は報告されなかった。

 

(2) 音声通信契約をしていないプロバイダーにログオンしている場合の事象

日本航空は、SATCOM音声通信についての契約をKDDとの間で結んでいる。従って山口GESにログオンしている状況でのSATCOM音声通信は問題なく行われるが、それ以外の会社が所有するGESにログオンしている状況でのSATCOM音声通信は以下の通りとなる。

 

a) KDDとのアライアンス契約1がある会社のGESのログオンしている場合

この場合には、KDDとのアライアンス契約により、ログオンしているGES会社からKDDを経由してのSATCOM音声通信が可能となる。実際今回の試験においては、Santa PaulaのGESにログオンしてARINC経由での通信を行っている状況では、GESを所有するCOMSAT社KDDとのアライアンス契約により、SATCOM音声通信が問題なく行えることが確認された。

b) KDDとのアライアンス契約がない会社のGESにログオンしている場合

この場合には、SATCOM音声通信は行えない。今回の試験ではPerthのGESにログオンしSlTA経由での通信を行っている状況がこれに相当したが、この場合、機上側から電話を掛けようとした時、以下のような状況が報告された。

・ 通信は通常通り行える事もあった。

・ 電話は通じているものの、通信状況が悪くうまくコミュニケーションを行えない場合があった。

・ 電話は通じており、地上側が電話を取ると地上側での対応の声が機上では聞こえるものの、機上側からの音声は地上側には届いていないことがあった。

上記のような状況から、アライアンス契約がない会社のGESにログオンしている場合には、SATCOMによる音声通信は保証されないと判断される。

 

1正式名称はSkyWays Alliance。

COMSAT,KDD,Telecom Italia,Communications Authority of Thailand(CAT)が参加している。

対象となるGESは、

COMSAT:Southbury(AOR-W),Santa Paula(POR)

KDD:Yamaguchi(POR,IOR)

CAT:Nonthaburi(IOR)

KT:Kumsan(POR)

Telecom Italia:Fucino(AOR-E,IOR)

である。

 

 

 

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