遥か4000フィートの高見から見下ろす眼下の光景には目を見張るものがあった。このときにはニューヨークの摩天楼を横目に自由の女神像の周りを旋回したのだがつくづくこのアメリカのやることなすことの大きさやここで生きていく人のバイタリティーの強さにはただ感心させられた。いや、ここニューヨークだけでなくこのアメリカにすむ人がみんなこの街のようにひろい心と大きな考えを持っているのではないか。日本の文化とアメリカの文化の違いというのをこのときはとくに強く思った。
又、ここメリーランドに来てからは何回かアメリカのCAPメンバーと出会った。このときにあったのはみんな同年代くらいで、気軽に話しかけてくれたりスポーツに誘ってくれたりと気さくで明るい人たちだった。僕の英語力がないせいなのだが、彼らが言ってくれている言葉がわからないときでも言葉を換え身振り手振りを使ってはなしてくれ、僕がなにもいえずあたふたしているときにも肩をたたくかのように話しかけてくれた。このときはうれしくもあったが、同じように話しかけられずにただおろおろしていた自分が情けなくもあった。
アメリカに来てから約半分がすぎた。僕らはBWI空港の見学をした後、野球の観戦にいった。直に野球を見ること自体は初めてではなかったが、一人一人の歓声や一投一打への人のわきようなど日本とは比べものにならない熱気があった。こんなところにも国民性がでるのだろうかとつくづく感心してしまった。この次の日からジムさんの家を後にして一路セントメリーという都市へと向かった。ここで新しいホストファミリーに出会い、初めて各自が分かれる、という形になった。(もっとも僕は大友先輩と一緒だったのだが)ホームステイ先は夫婦姉弟の四人家族でいつでも声をかけてくれ、とれも暖かい感じを与えてくれた。最後の夜には夜中の公園でホームステイ先の子の友達と夜遅くまでゲームをして遊ぶというスリリングなこともした。
セントメリーで二日間お世話になった後、僕らはウィコミコというところへセスナと車で移動した。途中、大西洋の浜辺などへよったりもしてホームステイ先(もっとも誰もいないのだが)へと到着した。この日の夜ジムさんから日米交流についての話をしをしてくれていたのだが話しの途中でうたた寝をしてしまうという失態をしてしまった。これがこの訪問での一番の失敗であった。
次の日はまたボルティモアに戻ったのだが、この日はもっとも忘れない日であった。再びジムさんの家に戻ってきた僕らは、Navaru Academy Officers Clubというところへといった。ここではメリーランド州がフェアウェルパーティーを開いて下さっていて、州の代表の方とも会うことができた。特にうれしいかったのはCAPの方たちと少しでも文化のことについてはなせたことだろうと思う。訪問前「何か些細なことでも日本のことがはなせれば」と思っていたのだが最後にしてこういう話ができたのはいい思い出になった。
こうして最後のホームステイの夜を過ごし、翌日再びワシントンへと戻りこのアメリカ訪問の閉会の後、翌日日本への帰途についた。