雲と天気
元東京商船大学教授 橋本 進
1. 天気現象の仕組み
一般に、人間の生活に影響を与える大気の状態を天気といいます。ところが、この大気は地球をとりまいている気体をひとまとめにしたもので、大気が存在している範囲を大気圏といいます。
大気圏の構造は気温によって特徴づけられ、気温が極大や極小になる高さを境に幾つかの層に分けられ、地表から対流圏、成層圏、中間圏、熱圏と呼びます。このうち対流圏は地表から高さ約10キロメートル(1万メートル)までの範囲をいいますが、気温は1キロメートル(1000メートル)につき約6.5°Cの割合で、上空にいくほど低くなります。そして、この範囲では空気の対流が盛んなことから対流圏と呼ばれているのです。対流圏では水蒸気の含まれている割合が大きいので、雲や雨あるいは前線や低気圧などの天気現象が現れるのです。
成層圏は対流圏の上にあり、高さは約50キロメートルの範囲です。対流圏と成層圏の圏界を圏界面といいます。そして、その上、高さ約20キロメートルまでは気温が一定で、これより上になると気温が高くなり高度約50キロメートルで最大になります。このような温度分布のところでは大気は上下に混ざりにくく、安定しています。だから、対流圏の対流は圏界面より上にはいかないのです。
成層圏はオゾンの大部分が生じる層でオゾン層とも呼ばれます。
中間圏は成層圏との境界面から約50キロメートルから約80キロメートルまでの範囲をいい、ここでは流星が盛んに観測されます。