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航海計画では潮を読み針路を決めたり,実航速力を予測したりするので,海潮流の調査は大切な仕事の一つである。資料としては,次の様なものがある。

?潮汐表(峡水道・海峡・瀬戸等の潮流)

?日本近海々流図(毎月2回の水路通報)

?海洋速報(毎月1・3金曜日海上保安庁)

最寄の海上保安部等で最近の海流図を見て来る。相談室等に頼めば海潮流情報や,求める地の潮汐曲線(潮流の方向)等について教へを受けたり資料も入手出来る。

波浪図

計画した航海日程の中で荒天に遭遇しない事は何よりの幸せであるが,海上の変化は急で西の空に積乱雲が現れたり,うねりが出たり,水平線が乱れ気圧が下って,雲の走りが速くなったりすると,荒天の前兆である。風が長時間・長距離を吹き渡ると風浪が強くなる。航海計画では気象庁が毎日JMHファクスで流す実況図や,24時間予想図の沿岸波浪図に注目して,海面の波の状態を把握しておかねばならない。風浪と言うのは,周期30秒以下の波頭の尖った波形をしているが,うねりは周期が長く波頭は丸形である。風浪とうねりが交ると合成波高となる。よく有義波と言う字旬に出会うと思うが,有義波とは100波の波を観測してその内波高の高い順に33波取り出して,平均した波高の事で,我々が一般に感じる波は有義波高に近いものである。但し実際の海面には,色々な波が有り100波に1波は有義波高の1.6倍,1000波に1波は2倍にもなる,一発大波に出くわす確率が有ると言はれている。又水深の浅い海岸付近では,波長と波高のバランスがくずれた三角波や磯波・捲波等が発生して,小型船が危害を受けやすい。波浪図は合成波高をlm毎に等波高線で現している。T/HはTは周期,Hは波高を示す。以上各資料から得られた,予備知識を活用参考としながら,いよいよ実際に海図上に針路を引いて行くチャートワークに入る訳であるが,ここでもう一度原点に婦えって,この航海を立案するにあたって,本船の性能やコンディションが無理の無いものであるかどうか,燃料搭載量は充分か,荒天の場合の避難港への入針と,補油補水補給の可否調査は充分か,飲料水・食糧の搭載計画は万全か,備品補修材の積込確認に「落し」はないか,入念な再チェックを行う。

航路の選定と針路決定上の注意

あまり行合船の多い航路は避けた方が良い。決められた航行区域内の航路であることは勿論だが,海の上には陸の道路の様なものは何も無い。道路はあなた自身が作らなければならない。その道路が良いか悪いかは,航海計画が万全であったかどうかにかかっている。針路決定の上で,先づ問題となるのが「出入港針路」「離岸距離」「変針点の選定」である。之から先は海図上での作業となる。

出入港針路

水路誌・案内等に記載の針路法に従うのが一番であるが,港内付近は狭いのが普通で,他船の交通も頻繁であるからいちいち船位等を入れている暇はない。

 

 

 

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