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「在援協」の役割は、まず、グループホームの運営費の助成です。運営費の助成は、横浜市が直接行うのではなく、「在援協」を通して行っています。

また、新しくグループホームを作るときなど、「在援協」の職員や、コーディネーターも準備に加わりながら、その地域の作業所や施設などとのつながりや、関係しそうな団体との調整などを手伝ってくれます。特に初めてグループホームを設立する場合など、設立までの準備、家探し、職員探し、書類の書き方から、お金集めまで、分らない事だらけです。そのようなとき、いろいろ教えてくれるのが「在援協」です。熱意や思いはあるが、どうしたらいいのか分らない当事者や家族のグループの代わりにやるのではなく、グループホームづくりのノウハウを教え、運営する力をつけるようにしていくことが「在援協」の役割です。

他にも、運営委員会単位ではなかなかやりきれない事柄、例えば職員研修、障害者や家族への研修なども「在援協」が行っています。

また、様々な実践があっても、それを記録したり、経験を他の人たちに伝えたり、行政施策に反映するよう提言をしたりということまでは、なかなかできないものです。調査・研究・提言も「在援協」の大切な役割です。そもそもグループホームについても、制度スタート前に検討会がもたれ、現在のグループホームの考え方や制度のあり方を検討したのも「在援協」です。また、スタート後も検討会がもたれ、制度の充実につながっています。

障害をもつ人たちの権利擁護も「在援協」の大切な役割です。スタート時から、グループホームに入居する人の権利擁護をどうするのかが大きな課題でした。グループホーム内部の努力だけではなく、外部の人によるモニターを実施したり、実際にグループホームに携わっている運営責任者や職員、障害をもつ人が集まって職員の意識の啓発のためのハンドブックを作るなどもしています。

 

(2) グループホーム連絡会

バックアップ施設をもたないグループホームでは、グループホーム同士の支え合いも、なかなか有効です。横浜市では、別々にできてきたグループホーム同士が、運営が苦しいときにお互い支えあうようになってきました。これは、グループホーム連絡会を作って、交流や相互の理解を深めてきた結果です。

バックアップ施設をもたないグループホームですので、職員が病気になったり、急にやめたりして、援助者が変わってしまったときは大変です。そのような時は、他のグループホームの経験ある職員が応援に行ったりすることもあります。

また、新しくできるグループホームの運営委員会に、経験あるグループホームの運営経験者が加わり、助言したりしています。

グループホームの仕組みの説明を聞いて理解したり、そこでの生活を想像したりするのが困難な重い障害をもつ人も多くいます。そこで、横浜市では、体験入居ということを行っています。グループホームでの生活を実際に体験した上で、自分が入居するかどうか決めるための取り組みです。新しく作るグループホームでも、他のホームで体験入居を繰り返して、準備を進めたりしています。職員の候補者も、他のホームで事前研修をします。

グループホーム連絡会には、職員部会と入居者部会があります。グループホームの職員は、1人で仕事をしていることが多く、孤立してしまったり、あるいは時によっては独りよがりになってしまったりしやすい面があります。職員の交流の場が欲しい、悩んでいる問題について他の人や他のグループホームではどうやって解決しているのか聴いてみたい、悩みや愚痴をわかってくれる人が欲しい、などの要望が多くの職員から寄せられました。そこで、援助職員の交流のために生まれたのが職員部会です。

職員部会では、皆で集まっての研修や飲み会もありますが、仕事の性格上、皆が集まるのは不可能です。

 

 

 

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