3. 地域と共に
(1) 地域参加
街の中で暮らすことは、地域住民との関わりの中で成り立っています。グループホームにいる人達は、町内会費の集金、広報やパンフレットの配布、町内の清掃から地域行事への参加など、月当番の役割も回って来ます。その他、市や町全体の行事の参加やボランティア活動などに参加することで、一住民として学びながら成長していきます。施設にいるとこんな経験はほとんどできませんし、社会人としての存在感も薄いものです。時には近所に迷惑をかけても、世話人の手助けを受けながら徐々に住民らしくなり、市民権を獲得してきました。
(2) ホーム間交流
街の中で暮らしている人達も現在50名を越え、自分達の仲間が増えたことによりお互いが相手の情報を知りたいとか、自分の持っている情報を流したい、こんな気持ちから自然発生的に交流の場を持ちたくなったのも、地域生活に慣れ、暮しに余裕がでてきたからといえるでしょう。地域生活支援の担当者としては、どんな形で交流活動を援助しようかと常々考えながらも、いつかは相談があるのではと内心期待していたのです。
ある日リーダー格の1人から、自分達の会をつくりたいので相談にのってほしいとの申し出があり、機会到来とばかり相談にのりました。先ず数人で発起人会をつくり、各ホームに連絡し参加を募ることになりました。設立総会までに発起人会を何度も開き、会長・副会長・会計候補は発起人会で案をつくるなど、それほど心配することもなく、第1回総会を地域交流ホームで開くことができました。会費制で、一部は職員が手助けしたものの、立派な料理も出来ました。会長・副会長・会計も発起人原案通り決定しました。
会の名前は「あゆみの会」とし、本部を浜田市内のグループホームに置きました。
この活動場所を「ビーチボーイズ」と名づけて、月1回の例会を開くことを決め、総会を終了。自分達の会「あゆみの会」のスタートとなりました。
(3) 音楽サークル活動
音楽のボランティア活動をしているグループの支援で音楽好きなホームの仲間達が集まり、バンドをつくりました。週1回練習しています。最初は施設の行事に参加することから始めました。「浜田わたぼうしコンサート」にも参加しました。仲間の1人が作詞、ボランティアの人が作曲して、コンサートで発表しました。時が経つにつれ徐々に腕前も上達し、今では各地域の行事にも参加して演奏が出来るようになりました。
「国際障害者家族年」のコンサートに出演するため、バンドの名前を「ハートファミリー・バンパンパン」と名付けてから活動の場も広がり、「わたぼうしコンサート」「福祉ふれあいフェスティバル」「アー卜フェスタin北九州」など地元から県外まで活動の輪が広がり、楽しみながら音楽活動をしています。
(4) 伝統芸能継承
地域神楽社中のボランティアの協力により、施設の園生や卒園生と職員で結成された「桑の木園芸能クラブ」は石見神楽舞をはじめました。東京での「全国心身障害者芸能コンクール」にも出演、三笠宮妃殿下の特別賞を受賞したのが大きな刺激となって、神楽舞でも至難といわれる「八岐大蛇」を演じるまでになりました。永い間の練習で地域神楽社中に負けないと評され、社中から頼まれる仲間もいるほどです。
東京をはじめ大阪、奈良、広島、山口、九州、鳥取など活動の範囲は広く、「世界わたぼうしin上海」や金城町と友交関係にある上海真如鎮で京劇と競演するなど、障害を越えた文化活動を続けています。自分達が使う神楽の衣装や大蛇の胴などは授産活動で製作販売もし、伝統工芸の継承にも参加しています。