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ないと、その思いは拡散してしまう。そこで、その思いを支援するような社会の仕組みが必要です。NPO法案が間もなく通り、たくさんのNPOができることは確かですが、それを支援する民間のNPOをたくさんつくり出していかなくてはいけない。お金を配分する、人材づくりをする、情報をシェアする、そしてそれらを総合化するNPO。今はそういう個々の活動を支援するNPOを育てる時期ではないかと思います。

私はこの二月にNPOの研修情報センターを立ち上げることにしています。NPOを支える人材養成専門のNPOとして三つの目的があります。まず一つは、自分が今何をしていいかわからないという若い人たちにむけて新しい仕事や価値観を紹介するワークショップを行います。自分がどのように生き、働くかによってはNPOに行くのもよし、企業に行くのもよし、行政に行くのもよし。その際の水先案内ができる、そういう人材養成のプログラムを組みたいと思っています。

二番目は、NPOをつくりたいと思っている人や今まで任意団体でボランタリーにやってきた人たちが、実際に企業や行政とパートナーシップを持ち得る具体的な「組織」としてやるにはどうしたらいいか、その方法論を開発していくワークショップです。人、物、金、情報をどうつくっていったらいいかという知恵もお五いに交換する必要があると思っています。

三番目は、NPOとして自立してやっている方々が対象です。ただし、そういう方々は国際交流なら国際交流、子供の問題なら子供の問題、というネットワークはあるんですが、その枠を超え、市民セクターを強化するようなネットワークはまだなかなか持っていないのです。縦割の社会を横につむぐネットワークをつくっていけるようなコーディネーターの人材を開発するワークショップです。

日本はお上意識がまだまだ強く、NPOサポートの仕事を行政が行おうとし始めています。それはまずいのではないか。これからは、市民センター自身がNPOを支援する仕組みをつくり、それを行政が支援するような構造に変えていこうと考えています。

星野 反発を恐れずに申し上げますが、フィランソロピーにおきましては、今は「和魂」を完全に捨てるべきときだと感じています。既に日本の新しい世代に新しい「魂」が始まっているのです。

例えば私は、自治会を通して地域ぐるみで参加している寄付についても自分だけ断ることができません。ある時、集金の当番の人に、これ以外のところに寄付をしたいと申し上げましたら、それは許されないと言われました。やらないと負い目を背負うとか、世間体が悪いとか、そういう要素が非常に多く、一人ひとりの意思には関係がないのです。これはフィランソロピーではありません。

しかし、私が関わってきました日本国際ボランティアセンターの人は、既に八年前から確固たる意思のもと「自分は個人としてこれに参加したい」と言って入ってきた人によってつくられました。その流れが阪神大震災の際のボランティアであり、世古さんのところに来る若者たちでしょう。これは洋魂というよりむしろ「地球魂」といっていいと思いますが、何か違う生き方を求めている人の中には、日本という島国だけに限られないもの

 

 

 

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