めに、児童相談所が教護院への入所措置を躊躇したり、児童の入所について親の同意を得にくいことなどが指摘されている。
(2) 今後の方向
・ 問題の多様化・複雑化を踏まえ、一人ひとりの児童の態様に応じた適切な処遇を提供できるよう、新しい時代に合った施設の在り方の見直しを図るべきである。
・ このため、現行の各施設について、その役割や対象児童の範囲、名称などについて見直しを行うとともに、施設の創意工夫によるサービス提供や先駆的な取組みを行いやすいように運営の弾力化を図っていくことが必要である。この場合、例えば、児童相談所の処遇決定における専門性や客観性を担保するためのバック・アップ機能の創設、施設内容の情報提供や児童の意見表明権の保障など、児童にとって最善の処遇を提供できる施設が適切に選択され得るような方法があわせて検討されるべきである。
・ また、単に入所児童に対する処遇を行うだけでなく、施設の有する機能を活用して、各種相談、通所利用やショートステイの実施などを含め施設の利用形態の弾力化を図り、地域の在宅ニーズに対応したサービスを積極的に提供できるようにすることが望まれる。
・ 教護院については、名称の見直し、運営形態の弾力化、学校教育の導入をはじめとする学習指導体制の充実、専門的な機能の強化、より科学的な処遇内容の改善等、その役割や在り方全般にわたって全面的な見直しを行い、幅広く児童の態様に応じた生活指導と学習指導を提供していく新しい施設として再生していくことが必要である。なお、この場合、現行の教護院の対象児童の範囲を拡大することがいずれの児童の自立にも悪影響を及ぼさないよう処遇の仕方を工夫する必要がある。
(3) 児童の自立までの一貫した支援
? 施設の有機的な連携の強化
・ 児童の態様は固定的でなく、その年齢や適切な自立支援を行うことによって変化するものである。
・ このため、各施設がそれぞれ連携しながら、個々の児童の態様や発達段階に応じて最も適当な施設において処遇していくことが重要である。その際、乳幼児の場合などについては、生活環境の変化が児童の精神的安定に及ぼす影響などに十分配慮することが必要である。
? 施設退所後の児童に対するアフターケアの強化