制度及び運用の在り方を含め総合的な検討を進めていくことが必要である。
・ 問題の多様化・複雑化の背景として、商業主義的な性風俗の蔓延など児童を取り巻く社会環境が悪化していることもその原因の一つとして指摘されており、地域社会においてこうした環境の改善に向けて不断の努力を行っていくことが必要である。
(3) 今後の支援にあたっての考え方
・ 児童に対する支援にあたっては、児童を保護し養育するだけでなく、一人ひとりが個性豊かでたくましく、思いやりのある人間として成長し、自立した社会人として生きていくことができるようにすることを基本理念とすべきである。
・ 児童の自立を支援するにあたっては、問題の多様化・複雑化に対応して、児童の最善の利益を尊重するため、一人ひとりの児童の問題の発生原因及びその態様、児童の性格、能力、適性に応じた支援を行うべきである。
・ なお、児童はお互いのふれあいなどを通じ自立に向けて自然に成長する力をもっていることから、その力が最大限発揮されるよう見守っていくことも大切である。
・ 現行の児童福祉法における支援の仕組みは基本的に入所形態を前提としているが、今後は、相談や通所利用等、在宅ニーズに対応してサービスを供給する仕組みを児童福祉体系の中で整備していくことが必要である。
・ また、児童に対象を限定して支援を行うだけでなく、その背後にある家庭の問題をも視野に置き、幅広く家庭への支援を強化すべきである。
2. 施設の在り方について
(1) 施設入所の実態
・ 現行の児童福祉法に定める各施設の目的・機能は問題の類型や年齢に応じて分類されており、児童をその分類に応じていずれかの施設に入所させ、処遇することを基本としている。
・ 今日、児童をめぐる問題が多様化・複雑化する中で、現行の施設体系の分類では対応できないケースが増えてきているとともに、時代の変化に伴い問題の類型やその対象児童数等も変化してきていることなどから、児童福祉法が規定する各施設の機能と現実に入所している児童の間に齟齬が生じている。
・ 特に教護院については、入所率(入所児童数/定員数)の全国平均値が4割程度と著しく低い状況にある。その原因としては、入所が敬遠されるような施設になっていることや教護院の処遇内容が時代のニーズに必ずしも対応していないた